オルタナティブ・ブログ > むささびの視線 >

鳥のように高いところからの俯瞰はできませんが、ITのことをちょっと違った視線から

DocuWorksで紙の良さを実感する

»

 そういえば、昔はコピーをとることを「ゼロックスする」と言ったっけなぁなんてふと思い出すことになった。

 小俣さんと同様、富士ゼロックスさんからDocuWorksのライセンスを提供してもらえたので、さっそく使ってみた。仕事柄、原稿の校正作業などで、ドキュメントにコメントを入れたりすることは多い。私が雑誌編集の仕事をしていた頃には、もちろん紙ベースのやりとりが主流だった。独特の校正記号でさまざまな直しの指示が入った原稿を受け取り、それを直してまた紙に打ち出し、著者や校正者に校正を依頼するという作業が繰り返され原稿ができあがっていく。その結果、1冊の雑誌記事ができあがる頃には、膨大なプリントアウトが手許に残ることになるのだ。

 ところが最近は、あまり紙には印刷せずに電子ファイルのまま校正を行う。PDFの場合もあるし、Wordの変更履歴で直しのやり取りをすることも多い。じつは、このWordでの変更履歴を使った校正というのが自分は苦手だ。どうにも、どう直せばいいかを把握するまでには時間がかかってしまう。それと、直した結果がちゃんと指定通りにできたのかがよくわからないというのもある。

 紙の場合は赤字(赤いボールペンや赤鉛筆を使って校正指定をしたから)を修正した後に、その赤字がきちんと新しい原稿に反映されたかをチェックする赤字チェックという作業があった。これがWord上の校正だと極めてやりにくいのだ。

 PDFの校正もまた面倒だ。Acrobat Readerだけでは注釈を入れるとかはできないので、Acrobatやその他のPDF編集ソフトが必要だ。Macならプレビューというソフトでもこれができるのでまあいいのだが、使い勝手がいいとは言えない。結局は紙に打ち出しそれに赤字を入れ、さらにそれをスキャナで読み込んで相手に送るという手順となることも。なんだか無駄な作業している気分に。

 前置きが長くなったが、DocuWorksだ。使い勝手などは小俣さんのブログなり参照してもらうことにして、自分が便利だなと思ったのは付箋をつけたり、コメントを入れたりという作業が、紙の上でやるのとかなり近い感覚でできるというところ。

 扱いたいドキュメントを印刷する際に、DocuWorks Printerを選べばDocuWorks Desktopにそれが印刷されるというイメージで文書が取り込める。あとは、それを紙のように扱える。とくに、付箋はけっこう便利かも。実際の文書にも付箋を貼る習慣がある人は使いやすいだろう。印鑑もいろいろあらかじめ用意されているし、もちろん自分の印鑑も登録できる。

 たぶん、電子化が進んだとはいえ、いまだ紙のやり取りが頻繁という職場は多いはず。そういうところが、紙をなくすというとPDFにという話しになるのかもしれないが、その場合は紙のときと同様なやりとりは難しい。PDFに合わせ業務のやり方を少し変えるだろう。もちろんそれで効率化できればいいのだが、紙は楽だったなぁと思うことも多そうだ。

 そんなときには、さすがにもともと紙への印刷にこだわってきた富士ゼロックスの製品だけあって、紙の便利さを電子化することに成功している製品という印象をDocuWorksには受けた。どうしても、これは紙に印刷しなきゃやりにくいなという作業が、これを使えば減らせるのかも。ちょっぴりエコな気分か。

 もちろん、DocuWorksが最高、絶対に利用しましょうというわけではない。現状では、PDFより普及していないので仕事を一緒にする相手がDocuWorksを使っていないとその便利さは半減してしまうだろう。さらに小俣さんも指摘の通り、Mac版はViewerしかない。デザインワークなどで紙に近いところで仕事をする人にとっては、これはちょっと辛いところだ。

 電子ブック端末のKindleを触った印象も、紙の良さを追求してる部分があるなぁと感じた。印刷しないエコなソリューションを展開する際には、あらためて紙の良さはなんぞやを、しっかりと考えるのがかなり重要そうだなと。DocuWorksを使ってみて、そんなことを思ったのだった。

Comment(0)