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鳥のように高いところからの俯瞰はできませんが、ITのことをちょっと違った視線から

事業仕分けに似たようなことは企業では当たり前

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 事業仕分けが評価されて、鳩山政権の支持率は少し上がったようだ。

 スーパーコンピューターの予算を復活させるかもといったように、まだまだ揺れている部分もあるが、世間の反応は事業仕分けということについて世論調査によれば75%以上もが好意的に受け止めているようだ。目的意識とか効果とかいったことを、予算執行にあたってしっかりと考慮するのは、歓迎されるのは当たり前。というか、そういう意識が弱いまま積み上げ方式で国の予算が決まってきたことこそ、本来驚くべきことだろう。

 新聞などの報道によると、09年度の税収は景気低迷の影響を受け37兆円程度になるのではとのこと。これでは、当初見通しから9兆円あまりも減少するようだ。ところが、各省庁の概算要求額は95兆円にも上る。税収が予想通りだったとしても、すでに大赤字な日本の会計。今回のような事業仕分けを行ったとしても、まだまだお金は足りないのが現実だろう。

 これを企業に当てはめたならば、事業仕分けどころではない。まずは一律で30%とか50%もの予算削減が否応なく課される。その上で、とくにマーケティング予算などの類は、さらに倍の予算削減なんてことも。実際、私もある会社で同じような状況に陥り、予算削減に苦労した経験がある。

 こうなると、どうしても必要なものを厳選し実施することになる。その際の担当者間の交渉は、かなり熾烈だ。予算がなくなれば、下手をすると自分のポジションすら危うくなるのだから、これは当たり前のこと。いかに自分のやろうとしていることが会社にとって必要なことかを必死にアピールすることになる。そのためには、過去の成果はもちろん、これから期待される効果を短期的、長期的に論理立てて説明できなければならない。

 企業に所属していれば、少なからずこのような予算獲得交渉は経験するのではないだろうか。ずっとやってきたから変えにくい、必要ですなんて理屈は一切通用しない。むしろ長期間続けていて明らかな効果が見えなければ、格好の削減対象にされてしまうだろう。

 もちろん国の予算と企業の予算を同列には扱えない。とはいえ、企業の当たり前が国の予算の中にはなかったということが、今回は明らかになっただけでも一歩前進であり、やってしかるべきことだったのだと思う。

 スパコンの件も、個人的には予算をある程度復活させるのはいいかもしれないけれど、そうなるならばきちんとこれまでの施策を反省して新たな計画をきっちりと立てるべきだ。一方で、長崎大学の浜田教授が成し遂げた3800万円のスパコン並みの計算性能実績なんてニュースもある。予算を復活することではなく、その中身がもっとも重要だということ、そしてそれをきちんとチェックする仕組みの定着が早急に望まれるところだ。

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