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Oracle Exadata Version 2でIBMを追撃する

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 OracleがSunとの協業で、新たなハードウェアを提供する。Oracle Exadata Version 2だ。HPが黒ベースの筐体だったのに対し、Sunは白ベースの上品な感じのラックで登場した。

 ざっくりと、どのへんがVersion 2なのかと言うと、メモリを大量に積んでいるところか。最大400GBのDRAMを搭載できるとか。400GBですよ!! これが上から1階層目。次にSmart Flash Cacheと呼ばれるFlash Memoryのキャッシュがあって、これが2階層目になる。そしてその下にSASのストレージ層がくる構造になるようだ。ちなみにCachenは5TBまで搭載できるとのこと。もう、これはメモリのお化けマシンです。このメモリの階層をSunとOracleの協業でうまいこと活用するため、OLTPも超速いというわけだ。

 このハードウェアに、先頃発表になったOracle Datbase 11g R2がのってくるわけだ。なので、データウェアハウスで利用するならば、新機能のIn-Memory Parallel Queryがかなり有効になるとか。ちなみにHPとのExadata Version 1の倍の性能が出るらしい。Version 2は、OLTPでもデータウェアハウスでも両方行けるのも大きな特長だとのこと。それ以外の中身の考え方は、Version 1と基本的には同じだ。ストレージとサーバーの間はインフィニバンド・スイッチで接続される。

 じつはこのメモリを活用する話は、昨年のExadata Version 1の発表を行った、サンフランシスコでのOracle OpenWorldの時にも、記者たちの間では話題にしていた。なにか新しいマシンが出てくるということで、SSDを使ったものだろうと予測し、担当者に質問なんかもしていたのだ。そのときは、SSDは可能性として興味は持っている、という程度の反応だったような記憶が。もちろん実際には、その時点でもこの計画は十分に進んでいたはずだ。

 もともとSunとOracleの関係はかなり深いものがある。Oracle 8か8iの頃までは、Sunのマシンがベースポート、つまり最初に製品を開発するマシン環境であり、当時はSun版の製品ができてから、それをHP版、Windows版というようにポーティングしていたのだ。そんな間柄だったわけだから、お互いにそれぞれの製品のことを知り尽くしているエンジニアがたくさんいるはずなのだ。彼らが組んで、お互いに知恵出しながら、最高な物作ろうぜ、てな話しになるのは多いに理解できる。

 さて、こいつでIBMの牙城の一角が崩れるのか。それは正直よく分からない。とはいえ、メモリを最大限に活用するというのは、今後のハイエンドマシンの方向性であることは間違えないだろう。

 業界の淘汰はある意味で必然。そのような流れの中にあっても、Sunのマシンがこうやって脚光を浴びる機会を得たことを、個人的には素直に喜びたい。IBMに買収されていたら、こんなことはなかっただろうなぁと。

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