IT化を真剣に考えないと、コスト削減で財源確保なんて夢の夢
事情があって、納税証明書を取得する必要があった。そういえばe-Taxでも納税証明書って請求できたなということで、チャレンジすることに。
まずは、この春に確定申告してから、PC環境が変わっていたのでe-Taxのソフトを入れるところから。手許にあったWindows 7のマシンにセットアップしようとしたのがまずかった。ソフトのほうはとくに問題はなかったのだけれど、持っているICカードリーダーがWindows 7ではどうやらうまく動かない。
仕方がないので、Vistaのマシンにセットアップし直し。この段階ですでに2時間くらい経過している。税務署に出向いて窓口で受け取って帰ってこられたかも。気を取り直してe-Taxのソフト上で申請書を作り、電子署名をして税務署に送る。この作業自体は、試行錯誤しながらだったけれど20分くらいで終了した。
さてこのあとは、税務署のほうで処理が行われ、手数料の支払い情報が送られてきて、ペイジーとかで支払いが済むと電子納税証明書がダウンロードできるという段取りだ。ところが、申請書を送ったあとに外出して、帰宅してみると税務署の担当者から留守番電話が入っている。いったい何事か、申請になにか不備でもあったのだろうか?
翌日再び税務署の担当者から電話が。話を聞いてみると、電子納税証明書というものは、電子的なファイルは証明書として効力があるものだが、それを印刷したものは証明書にはならないとのこと。そして、ほとんど(ほぼ100%)の銀行などの金融機関では、そのファイルを受け取る仕組みを持っていないと言うのだ。へ? そうすると電子納税証明書って、じゃあなんのためにあるの?どこで使えばいいの??
e-Taxって事務手続きを効率化するためのもののはず。導入して利用するのもけっこう苦労するし、その結果の電子証明書もこんなに使えないのじゃなぁ。結果的には紙の証明書じゃないと、受け付ける仕組みがまだ整っていない。これって入り口はSuicaで入ったのに、出口では紙の切符を出せと言われている気分だ。
とにもかくにも日本は書類が多い。そして、会社を経営していてさらに感じるのは、その紙の書類にやたらに印鑑を押さなければならない。そのたびに印鑑証明書が必要だったりもするし、なんとも事務作業の手間を増やすためのプロセスが多すぎる。この印鑑にいったいどんな意味があるのだろうか。
霞ヶ関クラウドとかでお金使ってIT環境を整備するのは多いにけっこう、けれど、そもそもの業務プロセスをもっとIT化しないと、結局は既存の紙の書類が飛び交うプロセスにプラスして、ITの電子化したプロセスが必要ということになりかねない。そうなれば、コスト削減どころか大幅なコスト増だ。
厳密に業務は進めなければならない部分が多いのは分かっているけれど、それは紙の書類でしか実現できないわけではない。過去の慣習を捨て去り思い切って割り切って、根本的に電子化したプロセスに移行しないとコスト削減どころじゃないだろうなぁと。こんなことしていたのでは、省庁の無駄を廃し財源確保なんて言っている新政権は、いつまでたってもお金のあてがありませんということになりそうだ。