オルタナティブ・ブログ > むささびの視線 >

鳥のように高いところからの俯瞰はできませんが、ITのことをちょっと違った視線から

閉じこめられている日本のエンジニアを羽ばたかせるために

»

 私もIBM developerWorksのミーティングに参加してきた。いろいろと話題にしたいネタもあるのだけれど、まずはエンジニアが個人として世に出るためにどうしたらいいのかという話を。

日本のITエンジニアは閉じこめられている

 この発端の話題は、日本人のITエンジニアが英語ができないから、駄目なんじゃないかという話からだった。だから日本のITが世界に出て行けない、世界で評価されない。いろいろと意見はでた。英語ができることも重要だけど、それよりもきちんと伝えられるものを持っていることこそが大事なんじゃないかという話で、参加者はなんとなく納得かなという感じだった。

 で、この話の流れのなかで、もっとオープンソースにも貢献すればいいのにみたいな話に。ところが日本のソフトウェアのエンジニアは、言われた仕事をするだけでなかなか自分の好きなものを作るということができない状況にある。これは受託開発という状況が多いためであり、そんな仕事の中では言われたこと以上のものでも作ったりしたら、それがたとえいいものでも非難されることが多いという。余計なことする時間があったならもっと安くしろとか言われるとか。さらには、業務外であっても、何かプログラムを作って公開したりする場合には、それは業務の中で得られた知識をもとに作ったんだろうと言われるしまつだとか。けっこうエンジニアは、がんじがらめな状況にあるのかもしれない。

 うーむ、なんだかひどい話だなぁと思う。すべてがこのとおりと言うことではないかもしれないけれど、似たような状況で優秀でやる気もあるのに閉じこめられているエンジニアが日本にはたくさんいそうな気がする。もちろん、最近ではエンジニアが外で活動することが有益だと考える企業も出てきているけれど、それは日本ではまだまだ少数派であることは間違いないだろう。

 個人的には現状の不況は、じつはこの閉じこめられた日本のエンジニアを解放するきっかけになるのではと考えている。不景気で仕事が減って多忙なエンジニアにも多少は時間が生まれているはずというのが1つ。さらに、不景気で日本のベタな大企業でさえ、副業を行うことを認めるといった新たな動きがでてきていることがあるからだ。ただ、本業との利益相反みたいな話がまだまだ足枷にはなりそうではある。

実名でのビジネスブログも状況は似ている

 じつはここ最近ブロガー同士で、実名でビジネスブログを書くというのも、日本の企業では同じように社員を縛り付けていて、なかなか実践できないという課題があるね、これを解消してビジネスブログを日本でも実名で行える環境を作っていけたらいいねって話をしている。上記の利益相反と同様、会社の業務で得た知識なりを、どう外に公開したらいいのか。これを実践することが、臆病な日本の大企業ではきわめて難しい状況にあるということだ。

 ところが、このあたり、外資系企業なんかはかなり軽やかにこなしているわけだ。最低限書いちゃいけないことを明確に定義して、むしろ実名で外に意見を言うことを奨励いているというのだ。もちろん、そのためのきちんとしたガイドラインも用意されているところが多いとか。

 日本のエンジニアが個人としてオープンソースコミュニティに貢献するというのも、この状況にかなり似ている気がする。このあたりも欧米の会社ではきちんとガイドラインをもうけて、むしろオープンソースへの貢献を奨励している動きもあるようだ。日本のエンジニアが海外の動きに追随できず、貢献できずにいる大きな原因をなんとか取り除くことができないものだろうか。

 そういうわけで、まずはなんとか外資系なんかがもっている、利益相反にならずに個人が外で活動するためのいいガイドラインを、日本流にアレンジして公開していくような動きができればなぁと思うのだった。そのために、日本IBMなりの実績ある企業が、大きく貢献してくれるといいのになぁと思ったりもしている。

Comment(0)