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鳥のように高いところからの俯瞰はできませんが、ITのことをちょっと違った視線から

発想を思い切って変える

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 トヨタが初の営業赤字。このニュースが昨日から新聞やテレビで大きく取り上げられている。

 ITmediaもトヨタの赤字がどうIT、エレクトロニクス業界に影響を与えるかという観点で、ニュース記事が掲載されている。まずは広告などのマーケティング関連、いち早くIT技術を活用していたメディア等への、スポンサーとしての大きなトヨタの存在。そして、自動車そのものに数多く使われている半導体、さらにはそれらを制御するソフトウェアなどへの影響。事業の縮がが、このあたりには直接的な影響となりそうだ。

 とはいえ、冷静になって考えてみれば、世の中すでに車は飽和状態だったのでは。年間国内でおよそ500万台の自動車が販売されてきた。仮に自動車の寿命が10年間保つとすると、10年で5000万台になる。日本の人口は1億2700万人くらいなので、2.5人くらいに1台もの車があることになる。現実的には、壊れちゃう車もあるだろう。とはいえ、これはゼロからの足し算であり、すでに世の中はに車はたくさんあるわけだ。

 今回は、金融危機とともに自動車産業も危機に陥ったわけだが、早晩、普通の車は売れなくなる状況になったのだろう。その1つの対策でエコカーなんかに力を入れたり、あるいは新たなロボットみたいなものにも、当然ながら投資してきたわけだ。とはいえ、主たるところは「車をたくさん作ってたくさん売る」というものに大きく依存してきた。

 話は変わるが、大学時代の交通計画の授業でのエピソード、これはすでに20年以上前のこと。シミュレーションすると、そのころの東京の自動車交通量をさばくためには、東京の土地をすべてを道路にしなければならないとのことだった。それって本末転倒じゃん。東京の街が道路ばかりになったら、そこに自動車を乗り入れる意味はないわけだし。これに対して自分は、「いっそ道路を舗装しないとか、自動車が走りにくいものに変えたらどうだろうか」という意見を言ってみた。けれど、そのときには「おまえは何を言ってるんだ」ってな雰囲気となり、残念ながらそこから議論には発展しなかった。

 先ほどTVを見ていたら、三菱地所のおもしろいCMが流れた。子供たちが、「想像力会議」を開いていて、自由な発想で街作り構想をしているというもの。そのなかでは、街中が芝生で覆われて、道路も全部芝生にしちゃおうということに。道路が芝生だったら、そりゃあ自動車はちょっと走りにくそうだ。

 でも、これからの世界は、これくらいの発想の転換が必要ではないだろうか。自動車産業は、仮に今後、金融危機が回復しても、そうそういままでのように成長産業に復活するとは思えない。新たなステップを踏み出すには、エコカーをたくさん作ることよりも、道路を芝生にしちゃうような大胆な発想の転換が必要なのかもしれない。

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