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鳥のように高いところからの俯瞰はできませんが、ITのことをちょっと違った視線から

Salesforce.comのクラウドとMicrosoftのクラウド

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 ここ数日Salesforce.comのイベントに参加していて、洗脳状態なのでどうしてもSalesforce.com寄りになってはしまう。

 サンフランシスコのイベント会場のいたるところで、「No Software」がクラウドの中に浮かんでいるわけだ。Platform in The Cloudだったとしても、そこではNo Softwareなのであって、考え方の基本であるSoftware as a Serviceといコンセプトは、Salesforce.comにとって変わるものではない。つまり、クラウドから降ってくるものはサービスであって、それがプラットホームになったからといって空からOSが降ってくるわけではない。

 そこに行くと、MicorsoftのAzureは、空からOSが降ってくるのかなぁと思ってしまう。それが駄目だというわけではない。手許のWindowsで開発したものがそのままクラウドで動けば、それはそれで便利になるのかもしれない。とはいえ、結局はローカルのPCに開発環境をダウンロードして、手許の環境で開発しクラウドにアップロードすることになるのでは、データセンターに置いてあるサーバーを利用するのとあまり変わらないのではと思ってしまう。もちろん、そのサーバーのセットアップも運用管理もいらないのは分かるのだけれど。

 もう1つSalesforce.comのCEOであるマーク・ベニオフ氏が強くいっていたのは、クラウドでもやっぱりオープンであるべきだということ。Microsoftはクローズでクラウドでもすべてを独占しようとしていると、彼は主張する。

 実際のところどこまでクローズになるかは分からないけれど、MicrosoftのクラウドのサービスがiPhoneやBlackBerryに対応するようになるとは思えないし、ましてやGoogle AppsとかGoogle Calendarとシームレスに連携できるわけはないだろう。すでにこのあたりをクラウドサービスとして利用しているユーザーにとっては、なるべく親和性の高いクラウドサービスであって欲しいと思うのも普通のことだ。

 今回のSalesforce.comの発表では、企業で必要なすべてのものがクラウドに載るようになったとのこと。とはいえ、実際にはすべてのITシステムをクラウドに持っていってしまった企業はまだほとんど存在しない。現実的にはローカルとクラウドを混在させた環境で利用している。当然ながら、Salesforce.comの目指す、すべてをクラウドへというのは理想であり、今の段階では夢と言ってもいいかもしれない。

 やがてはほとんどのものをクラウドに持っていくことになるのかもしれないが、そこまでの過渡期をどのように過ごすべきなのか。その過渡期にあるレベルの異なるユーザーを、どのようにうまく取り込むかがクラウドで勝者となる鍵となるのかもしれない。

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