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仮想化で勝つには国内ハードベンダーをどう取り込むかじゃないか

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 本日、オラクルが仮想化に関する最新の取り組みを発表した。仮想化ソフトのOracle VM 2.1.2という新しいバージョンが、11月1日からサポート開始とのことだ。

 この新しい仮想化ソフトウェアでは、High Availabilityの向上、Real Application Clustersの正式なサポートなどが新たに加わっている。他社にないところでは、いわゆるLive Migration機能に暗号化が使えるなんてものも用意された。Oracleの優位性は、まずはコストにある。発表会では、大雑把な計算だと断りがあったが、Live Migrationなどの機能まで使おうとすると、他社製品のサポートコストは5~15倍になるとのことだ。

 まあ、とはいえ、コストが安いというだけでOracle VMが普及するとはあまり思えない。実際に、Oracle VMを取り扱ってくれるパートナーがどれだけ本気で売ってくれるかが重要だろう。

 仮想化を本格的に導入しようとすると、メモリやネットワーク、ストレージといったハードウェアのサイジングに頭を悩ますことになるはずだ。そのため、当然ながら、ハードウェアベンダーとのコラボレーションは重要。いまのところ、どの仮想化ソフトのベンダーも外資系のDellやHP、IBMなどとは、積極的かつさまざまなプログラムを展開している。

 彼らはいまのところ、全方位外交状態なので、とくにどのベンダーの製品だけに肩入れするという状況にはない。最終的には、自社のハードウェアが売れて儲かる物に偏っていくのかもしれないが。

 国内市場では、もちろんこれら外資のハードベンダーとの連携も重要だが、なんといってもNEC、富士通、日立といった国産大手ベンダーとどのような連携ができるかがかなり重要だ。このあたりは、マイクロソフトやオラクルが他のソフトウェアの領域で、すでに連携実績もあるので大きく一歩リードしているかもしれない。

 仮想化ソフトの機能や性能の差は、今後は製品間の大きな優位性にはあまりならないだろう。これらは、追いつき追い越されというものであり、絶対的にどの製品のこの機能でなければだめだというものではない。そうなると、コストもしかりだが、だれがその製品を真剣に担いでくれるかこそが重要なのだ。

 その際、Oracle VMが担がれるためには、仮想化だけでなくその上にOracle Databaseもアプリケーションも載り、それらがワンストップでサポートできるという点が、どこまでパートナーの心に響くかによるであろう。

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