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VMwareのIPOがXenの普及を後押しする?

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 8月14日に米国VMware社がIPOしたとのこと。ニューヨーク証券取引所で取引される最初の株価は29ドル。公開される株の90%は、親会社であるEMCが、IPO後もそのまま保有するようだ。とはいえ、Intel、Cisco SystemsがVMwareには大きな投資を行っており、あたかも今後の成長が約束されているかの状況だ。

 VMwareといえば、いまやサーバーの仮想化ソフトウェアで大きな勢力を持っている。ホストOSタイプの製品は、無償で提供されているので、誰でも手軽にサーバー仮想化を体験できる。同社のビジネスのターゲットは、ハイパーバイザー型のエンタープライズ向けの製品だ。現状ではエンタープライズ向けのサーバーの仮想化では、圧倒的な強さを持っているといっても過言ではない。

 ところで、VMwareがIPOを発表した日と同じ8月13日に、今後のこのサーバー仮想化のエンタープライズ向け市場での、急激な成長が期待されるXenSourceの最新商用製品XenEnterprise v4のリリースが発表された。XenSourceは、英国ケンブリッジ大学の学術プロジェクトであるXenの開発技術者らが創設した企業であり、Xenをエンジンに周辺の機能、ツール類を提供することで、エンタープライズ向けの商用パッケージを提供している。

 Xenは知っていても、XenSourceは知らないという人も多いのではないだろうか。Linuxのディストリビューションに付属しているXenよりも、このXenEnterpriseのほうがVMwareのエンタープライズ向け製品であるVMware Infrastructureの直接的なライバルとなるはずだ。

 ITmediaの記事によれば、今回のVMwareのIPOでVMwareの認知度がIT技術者以外の層にも広まる効果があるだろうとのこと。そして、VMwareの認知度向上による市場の拡大が、Xenをエンジンにした製品群の売上げ向上に影響を与えるのではと。次期サーバーOSであるMicrosoft Windows Server 2008でも、ハイパーバイザー型の仮想化ソリューションWindows Virtualizationが提供される。役者も揃ったところで、来年に向かい、これまでの技術的なサーバー仮想化ブームが、一気にビジネスとしてのサーバー仮想化市場の拡大へと発展しそうな予感だ。

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