オルタナティブ・ブログ > むささびの視線 >

鳥のように高いところからの俯瞰はできませんが、ITのことをちょっと違った視線から

Mac採用であらたなイメージ戦略は成功するのか

»

 あおぞら銀行が、2,500台のMacを導入したとのこと。世界の金融業界で最大のAppleユーザーが誕生したそうな。UNIXベースのMac OS Xのセキュアな面を評価したとのことだが、ロイターの記事によると思惑は別のところにあるようだ。

 当該の記事では、あおぞら銀行はAppleのブランディングをうまく自社のIPOに結びつけたかったということになる。Macを全社規模で導入したことが、これだけニュースとして取り上げられているのだから、導入による最初のメリットはすでに発揮されたことになるのだろうか。

あおぞら銀は、Macを主に「フロントエンド」作業――文書やデータの処理、電子メール、ビデオ会議など――に使う予定だ。

とのことなので、Appleが銀行の勘定系システムに導入されたわけでもなく、いわばMacの得意とする分野での採用といえる。であれば、機能面での不安はそれほどない。Windowsベースのファイルを他社とやりとりする際には、ユーザーは多少苦労するかもしれないが。

 最終的には、セキュリティ面はMac OS Xだから安全ということにはならない。流行のWinnyもVirtual PCを使ってMac環境に入れるなんどいうやからもいるようだし。携帯電話のウィルスが蔓延り始めている状況では、仮にMacがもっと普及すれば当然新たな驚異となる「穴」が数多く発生することになるだろう。根本的なセキュリティ対策は、ハードウェアやOSに依存するものではない。

 あおぞら銀行は、つい先日ヤフーとのネットバンク事業における提携を解消している。つまり、この提携で新しい銀行の姿をアピールするメリットを、享受することができなかったということだ。このデメリットの返上に、2,500台のMac導入だけでは厳しいだろう。「Macを導入している、新しいXXXXなあおぞら銀行」のXXXXの部分のブランディングが、何らか必要そうだ。

Comment(1)