【続報】ソフトウェア開発の売上げ計上タイミング
先日「ソフトウェア開発の売上げ計上タイミング」というエントリーで紹介した、経産省の研究会の成果がWebに公開された。「情報サービスにおける財務・会計上の諸問題と対応のあり方について」という文書で、本編と各論に分けられている。
まだ内容をじっくり読んでいないが、大雑把にはソフトウェア開発の仕事の現状が語られたあとで、ソフトウェアが「無形」であること、仕様が「変化」することを財、取引の特質として定義している。その特質を踏まえて4つの課題が提起され、これを解決していきましょうという内容になっている。
課題の1つに「収益認識」がある。そのなかで、
わが国の会計基準における収益認識の基準によれば、「実現主義」に基づき、「財および役務の提供が完了し」かつ「その対価として現金または現金同等物の取得」を満たした時点で収益と認識すること
という大前提が改めて記述されている。ソフトウェアは「無形」で「変化」するので、完了を定義しにくいわけで、適切な検収のあり方がポイントになるとのことだ。
この適切な検収というのが難しい。物理的には、検収書に発注者の印鑑がポンと押されればOKなのだが、検収してもバグが出る可能性は当然ある。その際には、バグの中身によって有償か無償で対応することになる。たとえば、無償の場合の労働対価はどのタイミングで収益認識に加えればいいか悩むことになる。プロジェクトが、期をまたがっていた場合などもまた複雑だ。
お役所の文書の割には、事象例を提示して、かなり現実に即した内容となっている。とはいえ、このときはこうしなさいというような、具体的で明確なガイドラインというわけではない。現場のことは理解しているけど、原則的にこうしましょうねという方向性を示すといったところだ。
とはいえSIを生業にしている方々は、一度目を通しておくといいだろう。そんなの当たり前じゃんということもあるが、あらためて指摘されて自社の業務のやり方を振り返ってみるとどうなっているかを確かめるきっかけになるかもしれない。