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計測できそうでできない多くのこと。エンピリカル(実証的)アプローチで。

ソフトウェア開発の成果物、コスト、進捗を『測る企業は成功率が2倍に』

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表題は、日経コンピュータの2008/12の記事(最近、Webページ化された)のもの。他にも「成功の決め手は『定量管理』」がある。アンケートで回答が得られた814企業の結果にもとづく結果だそうだ。ここでの成功とは、品質、コスト、納期が計画を遵守できたことを指す

詳細は記事を参照いただくことにして、以下のような項目が気になった。

  • プロジェクトの成功率は31.1%(成功の定義は前述のとおり)。5年前に実施したアンケート結果では26.7%。
  • 品質、コスト、進捗のいずれかでも定量管理している企業では、成功率が45.6%、定量管理を一切していない企業では成功率が24.3%。
  • 企業規模別の調査では、大企業よりも中小企業のほうが定量的管理による成功率が高くなる。

ソフトウェア開発の定量管理、計測が、ここ数年で定着しつつあるということだろう。また、定量管理、計測によって成功率がかわるという結果は、その効果を物語っているのではないかと思う。本ブログでも計測に関わるエントリが多くある。敵を作らない計測や本ブログ内での去年のアクセス数第3位となった「計測/メトリクス」(その他はエントリだったが、なぜか3位にカテゴリがランキングした。詳細はこちら)あたりが参考になれば幸いだ。また、去年の7月にソフトウェア計測で合意形成と意思決定をするというテーマでPM Conferenceで講演した内容をWebにまとめていただいている(こちら)ので、あわせて参考にしていただければと思う。

また、ソフトウェアの計測には、必ず人手による入力に由来する精度の低さ、数値だけでは判断しにくい状況がつきまとう。単純に「定量化しよう」という考え方ではなく、計測とうまくつきあっていく(大まかな状況や傾向は数値から得ていくが、数値にとらわれすぎず状況判断していく)ことが重要だと思う。

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