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IT業界のコメントマニアが始めるブログ。いつまで続くのか?

開発者を元気づけるには、どうすればよいか

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Microsoft On」という活動で全国をまわっていますが、しばらく前に参加者の方から「このブログを見ているので開発者が元気になるようなエントリをお願いします」というリクエストをいただきました。そう言われて「ハッとしました」((c)発想七日)。他のエントリを書きながらも、ずっとこのテーマが気になっていました。が、いつまでも考え込んでいるのも問題ですから、まとめて書きます。

マイクロソフトのデベロッパー エバンジェリストは、私を含め開発者に新しい(マイクロソフトの)技術を啓蒙しよう、理解していただこうという活動をしています。それによって開発者の方々がよりよい開発環境を獲得できると考えています。しかし、開発者を取り巻く雰囲気は必ずしもよくありません。「最近のIT技術者は3K(厳しい、きつい、帰れない)」と評したのは、うちの社長ですが、間違いなく技術は進歩しているのにどうしてこうなってしまうのでしょう(*1)。

こちらとかこちらのエントリを見ていると、ソフトウェア開発という分野だけが「取り残されている」「遅れている」というような印象も受けてしまいます。たしかに、「ソフトウエア・ファクトリーは「バズワード」か?」にあるように、ソフトウェア開発が「家内制手工業」にとどまっていて製造業のように「近代化」されていない、という批判は的を射ていると思います。

しかし、この「ソフトウェアファクトリ」のような取り組みが継続的に進められてきたことも事実です。「銀の弾丸」はないかもしれませんが、それはソフトウェアに限りません。突き詰められていないからこそ、進歩が続いているという見方もできるでしょう。実際、ムーアの法則にしたがって集積回路のトランジスタ数が1年半~2年ごとに倍増しているのと同じように、現実のソフトウェアの規模もどんどん大きくなっています。そして、そうした開発に耐えうる開発環境が提供されてきています(マイクロソフトに限らず・・・・・・たぶん)。

そもそも人が介在するものであれば、間違いや問題が起きるのも常です。別にソフトウェアに限った話ではありません。高額に販売される自動車の部品点数は高々数万点ですが、それでも完璧ではありません。同列に比較するのは極論にすぎるかもしれませんが、ソフトウェアで数万行というのはたいした規模ではありません。間違いを許容しろというわけではないですが、ソフトウェア開発者だけが悪者にされる謂れはないのです。もちろん「開発者は頑張っていれば、きっといいことがある」と脳天気なことは言いません。経験上:-)、上司や環境に恵まれないことだってあるでしょう。でも、それも開発者に限ったことではありません。

私からの提案は「考える開発者になろう」ということです。「考える人になろう」でもいいです。何でもかんでも考えてばかりでは大変ですから、選んで考えればよいです。私の場合、あまり先のことは考えず(←それでいいのか?^_^;)、“今”を考えるようにしています。キャリアパスを考えるもよし、スキルアップを考えるもよし、プライベートを重視するもよし、自分に何が大切かを考えるのです。そのように考えて下した決断は、たとえ失敗に終わっても、考えずに下した決断より後悔が少ないです(経験上^_~;)。3Kを嘆いたり、漠然と不平不満を発散しても、たぶん事態は好転しません。

開発者にはよいところがあります。より高いレベルを目指すためにそれなりの努力が必要だということです。誰もが何の努力もせずソフトウェアを開発できるようになってしまったら、そういう人々に誰が良い対価を払おうとするでしょうか(*2)。職業に貴賎がないとはいうものの、自給800円の仕事よりもソフトウェア開発者にはずっと大きなチャンスがあります。そうした努力を積み重ねれば、会社や組織にとって離しがたい、あるいはどこかの誰かにとって得がたい、あるいは未来の自分にとって大切な開発者になれます。

開発者の皆様に幸運を:-)

*1 技術が進歩し続けているから、という面はあるでしょう。「医療は進歩しているのに、なぜ患者は減らないのか」という話もあります:-)
*2 マイクロソフトが「Visual Studio を使えば、誰もが簡単にアプリケーションを開発できます」という表現が嘘だといっているのではありません^_^; いくらでも上を目指すことができるということです。

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