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タイ国の真実らしきもの その25 タイの給料の問題点の話

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 今回はタイの給料について少しだけお話します。
 タイの企業と日本の企業とどこが一番違うかというと、給料が違います。
 多い少ないという点では、日本で勤めているから給料が高い、しかしその分物価が高いという点で多いから少ないからと言って、生活が豊かかどうかという話は別になります。
 
 私がここでいう給料の違いは昇給に関してです。
 タイでは普通の企業の場合、定例昇給というのは、ほとんどありません。
 10年働いていても、昇給がほとんどないという人が普通にいます。
 ポジションが上がるからとか仕事内容が変わるからということで手当てが変わる場合はありますが、同じ仕事をしている限りほとんど給料は変わりません。
 例外として弊社のような日系企業では定例昇給を行っている会社もあるようです。
 
 でも給料がずっと上がらなかったら困りますね。
 ではどうするかというと転職となります。
 転職する大きな理由は給料のベースアップがあります。
 
 自分が優秀で「ここで働いているよりもっと良い給料がもらえずはずだ。」
 と思う人は、転職斡旋会社に自分を登録して(もちろん会社には内緒です)良い企業があれば、ためらわずに転職します。
 
 これは会社を経営する方からみればとても困った話で、会社で教育ということができなくなります。
 なぜなら、折角教育して能力が高くなったら、別の会社に転職されるということであればどの会社も教育にお金を掛けることをやめます。
 
 結果、即戦力の人材が必要となり、新人を育てることはせず、転職斡旋会社に依頼して中途の人を雇うということになります。
 転職斡旋会社は儲かり、益々新人は敬遠され、中途が求められるようになります。
 最終的には、誰も教育しないということになります。
 
 そして、仕事内容は、簡単な仕事となり、教育が必要なインテリジェントな仕事を会社として必要としない業務内容の会社が増えるということになります。
 
 私は仕事がら多くの人を面接しますが、正直ひどいものです。
 履歴書にはちゃんと書かれているのですが、プログラム開発ができる言語で、C、C++、C#とか書いてあっても、プログラムのコンパイル一つできない人やアルゴリズムの意味さえわからない人がたくさんいます。
 
 LINUXに詳しいという人がいて、インストールを試しにお願いしたら、コンパイルはともかく、そのままのインストールさえまともにできない人がいました。
 
 ネットワークの専門家という人など、何ができるかというとインターネットへの接続ができるだけでした。ネットワークの構造さえまともに知りません。
 
 タイでは、本当に出来る人を探すのが難しいのです。それだけ技術(教育)が習得されていません。
 大学を出て、そのスキルだけで仕事ができるとは誰も思っていないはずです。大学の教育をベースに人を育てる企業があって、初めて技術者は育つのです。
 
 と、ここまでタイの事情を書きましたが、日本も段々そのような方向に行きつつあります。
 
 本当に残念な話です。日本でも転職が普通に行える風土ができてきていますね。
 また定期昇給も見直されています。
 
 技術立国日本を支えた技術者のレベルがどんどん落ちていかないかと心配になります。
 

 今日はここまで、またいつか御会いしましょう。

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