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世界から憧憬される骨太なニッポンになろう。カリフォルニア発日本応援歌

国際人を目指す日本の大学生たち

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日本から大学生・大学院生が総勢30数名でシリコンバレーを訪問しています。
北米研修と称して、地元企業に2週間インターンとして勤め「英語圏で働く」ことを体験したり、グーグルやアップルなどを訪問して起業精神を学ぶ、戦前戦後の日本からの移民に尽力された方の講演などもメニューに盛り込まれている非常に興味深いプログラムです。

昨日は、シリコンバレーで活躍する日本人5名がパネリストとして呼ばれ、渡米のきっかけ、アメリカでプロとして成功するための心構え、意思決定の仕方など、学生達からのさまざまな質問に回答するというセッションがありました

パネリストは、ヘッドハントされてシリコンバレーへ移住した後、起業したM氏、もと大手都市銀行支店長、現事業企画コンサルタントのA氏。建築家を目指していながら牧師となり、シリコンバレーで私立日本人学校を設立したK校長、フリーランスジャーナリストのT女史と私の5名。(言うなれば全員、起業家・自営業です。)

当初は2時間という予定だったのに、次々に出る学生達からの質問、それらに対するパネリストの回答はどれも感銘を受けるものばかりでセッションは盛り上がり、4時間を経過した夜11時過ぎに散会となりました。

大盛況のパネルディスカッションだったのですが、その中でいくつか印象に残った話題があったのでご紹介します。


  • ルール違反をした学生は即刻帰国させ停学処分にすべきか。

実はアメリカ到着2日目にして、はめをはずし、泥酔して夜中にスッポンポンになってホテルのプールに飛び込み、その後、木によじ登ってベランダから自室に戻ろうとして通報された学生が居たのです。

木の下はコンクリ。落ちて怪我をしなかったのも、誤って他の人の部屋に入ろうとしなかったのも幸いでした。これが警察沙汰になっていればもっと大変なことになっていたでしょう。けれども警察沙汰にならなければ穏便に済ませて良いのかという問題です。

飲酒については厳重な注意が指導されていたのにも関わらずこの始末。自分の行為の責任は取らせるべきで即刻、帰国・停学処分にすべきという意見が出た一方で、本人の反省を促し、せっかくの研修の機会を損なわないにするという意見も出たのです。

どちらが適切なのかは意見が分かれるところであり、結果論になってしまうかも知れませんが、一考に価する議論だと思いました。


  • やる気のない学生のモチベーションを上げるにはどうしたらよいか


電気電子工学の学生なのに電気のことにすら興味を持たない。勉強会を提案しても、関心がないからと参加してこない。何に対しても無気力、無関心な学生のモチベーションを上げるにはどうしたらよいか、という質問が後輩の指導に悩む院生から出ました。

この質問に対してパネリストが期せずして、「そんなの放っておけば」とハモったのには会場から苦笑が漏れました。

「やる気の無い人はどんどん落第させたら良い」と、パネリストが回答すると「それはアメリカ式の考え方で、、、、。」と会場からは不満の声が出ました。
落ちこぼれが出ないように皆で助け合うというのも一つの考え方ですが、それは誰もやめない、やめさせないというのが前提条件になっていればのことです。

やる気の無い人はやめてもらう、やる気のある人の足を引っ張らないようにしてもらう、というのが良くても悪くてもアメリカ的考え方です。特に、最近のカリフォルニアの大学は、予算削減で定員縮小しているため、総定員に対し1万2千人もの入学希望者が大学に入れない状態です。いくら入試に合格したからと言って、やる気のない学生をいつまでも在学させず、どんどん他のやる気のある学生と入れ替えたらよい、というのがパネリストの統一見解でした。

企業でも同様でしょう。有名大学卒業者、成績優秀者という理由で採用されても、やる気のない人間、会社組織の中で使いものにならない人間はどんどん辞めてもらったらよいのです。シリコンバレーの某企業では、毎年、下から10%の社員を馘首し、新しい人材に入れ替えているそうです。

今は優秀でスキルもありながら就職に恵まれない人たちがたくさんいます。
甘えん坊さんを大事、大事にあやしているような暇も余裕も今の競争力が低下している日本には無いはずだというがパネリストから出たコメントでした。

とは言うものの、大学の先生方からすれば、何とか学生を卒業させ、就職させるのが役目の一つでもありますので、そう簡単に落第させられないという悩みがあるようですが。


  • 決断を下す時にどれだけ時間をかけているか。


この質問が出た時には、一番年長のパネリストA氏が「そんなことケースバイケースに決まっとる。最初から「模範解答」を聞いておこうという態度がそもそも間違っている。」と少々声を荒げながら回答しました。

アメリカに限らず、世の中で活躍する人たちは共通して決断力があると言えます。そして自分の判断に自信を持っています。それは独りよがりの勝手な判断ということではないのです。

ラグビーの選手だったかと思われる巨漢で「入道」と呼びたくなる強面のM氏が「ほとんどその場でスパッと決めますわ。」と大阪弁でおっしゃった時に、会場は「えっ?」という反応でした。けれども「それは普段から常に情報収集をしており、自分なりにその情報を分析して状況を把握しているが故に、瞬時に判断ができるんですわ。」と補足説明を聞いて一堂、納得したのです。

司会役で某大学北米センター長の起業家 I 氏も、色々な角度から見た案やオプションを洗い出し、優先順位をつけて並べれば、あまり悩まずに決断できると発言されましたが、これはとても有効な意思決定手法です。
個人の感情に左右されることなく、さまざまな利害関係を考え、トレードオフしながら包括的に判断できるからです。トレードオフスタディの手法をもっと日本人は身に付け活用したら良いと思います。

また、一度下した決断にこだわらないということも大切です。玉砕するまで負け戦を続けてはいけないということなのです。ダメだと思ったらばすばやく作戦変更すること、勇気ある撤退も時には必要なのです。自分のエゴを押してはいけないという注意もありました。

そして大事なことは、自分自身でじっくり考え、自分自身で納得して下した決断であるという認識でしょう。結果が吉と出ようが凶と出ようがそれは半分時の運もあるでしょう。自分の判断だったという自覚があれば、たとえ思い通りの結果が出せなくても後悔はないはずです。


  • プロとは何か。


お客様から信頼される存在であること。
スポーツ選手並みに体調管理をし、頭痛、腹痛などが起きないように常に注意し、時差ボケがあっても最高のパフォーマンスが出せるように調整することは当然です。また通訳は黒子の存在ではありますが、お客様の目となり耳となり口となる立場です。通訳スキルはもちろんのこと、専門知識、品格、パーソナリティ、立ち居振る舞いの一つ一つがお客様を表している代理人なのです。あの通訳に任せておけば大丈夫という信頼を得られることが通訳としてのプロ意識です。

自分の仕事に関しては誰にも負けないという自信があること。これはM氏の言葉。営業の彼は、お客様をして「この製品を買わない方が損だ」と言わせるだけの自信があると言います。それは自社製品の良いところだけを強調する押し売りではなく、相手が何を求めているのか(pain point)をしっかりと把握していてそこにうまくヒットするソリューションを提供することなのです。


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他にも非常に興味深い意見がたくさん出され、楽しくかつ有意義な、あっと言う間に過ぎてしまった4時間でした。

特に印象に残ったのは、パネリストの方々が皆、情熱にあふれ、仕事が人生が楽しくて仕方が無いという方達ばかりだったということ。どなたもとっても魅力的で、オーラが輝いていました。

やっぱりそれがシリコンバレーの良いところなのです。
能ある鷹が爪を出せるのがアメリカです。世間体を気にしなくて良いのもアメリカの良いところです。成功しても失敗しても自分の責任です。そして失敗が決して汚点ではなく、次の成功の糧にできるのがシリコンバレーなのです。人脈がスキルに勝るとも劣らない重要性を持っているのもシリコンバレーです。

私達は日本を捨ててアメリカにいるわけではありません。アメリカの地から日本を向いて、日本頑張れ!と日本を応援する仕事に精を出している私達なのです。

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