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きれい過ぎるプロジェクトゴールにご用心、あるいは僕らが「いやなツッコミ」をするわけ

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プロジェクトを始めるとき、何のためにやるのか?どこを目指すのか?を明記した、プロジェクトゴールが必要だ。
また、ゴールと微妙に違うのだが、「どういう理屈でゴールが達成できるのか?」を示す必要もある(僕らはプロジェクトコンセプトと呼んでいる)。

僕がプロジェクトワークの世界に入った時代には、この辺が明示されず、迷走しているようなプロジェクトが結構あった。「これ、なんのためのプロジェクトなの?」というね。
流石に最近はゴールやコンセプトなしで突き進んでいるプロジェクトにはお目にかからない。


ただざっくり言って、こういうお題目の8割は「きれい過ぎる」。
例えば
「事業部ごとの差異をなくして標準化する」
「経営判断に資する情報をリアルタイムで手に入れられるようにする」
「ERPに合わせてローコストで開発する」
「コンプライアンス対応&決算早期化」
とかとか。

きれい過ぎて、誰も反論しないし、したくてもできない。正しいことが書いてあるから。
だから、議論はあっさり終わる。

そして、実際に個別の方針ごと(○○に合わせて??は廃止、△△は半年後にアウトソースする)を決めようとすると、大反対が起きる。
この仕事を始めるまでは、「総論賛成各論反対」というのは例え話みたいなものかと思ってたけど、本当にあるんですね。というかそんなんばっかです。

生活がかかっているとか、変化を嫌うのは人間のサガだとか、そうなってしまう理由はたくさんあるのだけれども、やりようによっては避けられるものもある。
その1つが「きれい過ぎるプロジェクトゴール、プロジェクトコンセプトを作らない」ということだ。


きれい過ぎるというのは、
・やることが書いてあるが、やらないことは書いてない
・メリットばかりでデメリットが書いてない
・利害関係者の様々な立場の違いを考慮していない
というようなこと。
揉まれていない、脆弱なプロジェクトゴールであり、プロジェクトコンセプトということ。


こういう状態だと、プロジェクトが進んでいくと紛糾する。
その紛糾を、システムで解決しようとすると、要件が膨らんでオバケみたいなシステムになる。
その紛糾を、業務で我慢することでしのごうとすると、時に「このプロジェクトって、いったい誰が嬉しいの?」という感じになる。
その紛糾に正面から向き合わずにプロジェクトをすすめると、いつの間にか当初のゴールやコンセプトは「神棚に飾られている御札」みたいな感じで、実体をともなわなくなる。

いずれにせよツライ。


だから、僕らのような第三者の役割は、「いやな質問」を投げることだ。
「それをやろうとすると、あんなことこんなことが起こるけど、それでもやるの?」
「それをやると嬉しくない人もいるけど、そういう人も納得するの?納得しなくても従わせる覚悟あるの?」
「これほど反対もしようもない良いことなら、なんで今までやれてなかったの?」
など。
僕らのお客さんはみな紳士なので、(本当はムッとしているのかもしれないけれども)あまり怒らずに、きちんと答えてくれる。
または当惑してそこから再度の議論が始まる。


または、いままでプロジェクトには参加していなかった人の意見を聞きに行く。
プロジェクトのお題目を決める議論に、そういう嫌な質問を言ってくれそうな、うるさ型の社員の方や今、実際にその業務をバリバリやっている社員の方を、あえて参加してもらったり。

どちらにせよ、そうやって揉まれることで、ゴール/コンセプトは強くなり、各論反対に負けにくくなる。

それでも後になって苦労はするだろうが、こういう議論を経ていないケースに比べれば、随分マシになる。
僕らもムッとされたかいがあるというものだ。

きれい過ぎるプロジェクトゴールにご用心。

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