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プログラミングでメシが食えるか!?

中小企業の良し悪し

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なぜか昨日の記事「若い頃の苦労は買ってでもせよ」は多くの方に読んでいただいたようですので、気をよくして(?)中小企業での仕事の様子を紹介してみましょう。あくまでも、私の経験を元にした内容ですので、もともと数が多くて業態も様々な中小企業のある一例として読んでください。

【駄目な状態】
・仕事がない
中小企業でまずぶつかる問題は「仕事がない」状態です。ブランド力がある会社と異なり、仕事は口を開けて待っていても来ません。仕事がないと困りますから、探しに行くのですが、探しているときほど仕事は見つからず、見つかっても足下を見られて条件が悪いものです。
・忙しい割に儲からない
仕事がない状態を恐れ、「来た仕事は片っ端からやる」という感じにすると、今度は忙しすぎる状況に陥ります。じっくりと自分たちの付加価値を高めることに時間が使えず、いつまでたっても、「忙しい割に儲からない」という状態が続きます。
・待遇が悪い
このような状況になれば当然、長時間労働する割に待遇は良くならず、メンバーは疲弊していきます。
・よいメンバーが採用できない
こんな状況の会社で採用活動を行っても、見抜かれてしまい、できる人が来てくれるはずがありません。
・自転車操業
いつまでも余裕ができないので、資金繰りが苦しくなり、自転車操業になりがちです。

【理想的な状態】
・他ではできない仕事がある
中小企業が他と同じ仕事をしていたのでは儲かるわけがありません。敵が多い分野は規模が大きいところが勝つのです。他ではできない仕事があるかどうかポイントです。
・仕事は何もしなくても集まる
他ではできないものがあり、それをきちんとアピールしていれば、仕事は勝手に集まります。無理な要求を飲む必要もありません。その分野の仕事がどんどん集まれば、情報やノウハウもどんどん集まり、ますます差別化ができます。
・人の仕事量と稼ぎは別
人が動いた分だけ収入になるようなビジネスモデルは、中小企業向けではありません。技術・製品・サービスなどが、勝手に稼ぐ状態にし、自分たちは自分たちでしかできない部分に専念するのが理想です。
・チャレンジできる
勝手に稼ぐ状態を作り出せれば、時間も資金も余裕ができ、次に向けたチャレンジができます。チャレンジはとても楽しく、メンバーのやる気もでます。会社を説得するのも中小企業の方がはるかに簡単でしょう。
・待遇がよい
中小企業はもともと人数が少ないので、儲かれば分配もしやすいものです。
・自分をアピールできる
少人数でやっていますので、「会社が」というより、「私が」というイメージで仕事をできます。自分個人の価値を高め、存在感を示しやすいのは中小企業でしょう。それは会社にとっても良いことです。
・よいメンバーが集まる
他ではできない仕事や、自らチャレンジできるような環境であれば、よい人が集まります。

こんな感じでしょうか。「で、お前の会社はどうなんだ?」と言われると思うので、正直に書くと、「現状、両方が混在した状態」です。

私が入社後に「やらされ」ていたCADシステムの開発販売は除き、自分で立ち上げた事業で考えると、受託開発をしていた時代は、初期は単価も高めで景気も良かったことにより、それなりに儲けましたが、不景気になり、オフショアが盛んになり、大手が人余りで下請けを使わなくなったあたりから、儲かる仕事とそうでない仕事がはっきりと分かれるようになりました。儲かる仕事は他ではできない分野でした。当時からアピール用にネットワーク関連ソフトウェア製品を作っていたのですが、それを本格的に立ち上げなければ、下請け仕事では苦しくなる一方だ、と考え、製品開発に思い入れがあるメンバーと、「製品開発販売事業」を立ち上げました。最初は売り方もわからず、「無駄だ」という意見も多かったのですが、徐々に実績が出ると共に売上も上がり、それと共に、「製品に関連した特注開発も」という相談も増えました。製品は「わかりやすい技術アピール」にも役立つのです。実際に動くものがあるわけですし、それを使っているユーザがいるので信用できるのです。

現状は、製品関連の稼ぎがかなり増えた状態ですが、受託開発の依頼も根強く、どちらもやっているため、社内は大忙しです。そういう面ではあまり良い状態ではない部分も多いと感じています。いずれにしても、仕事は、「探していると見つからず、もうたくさんだと思っていると山ほど来る」というのは間違いないと私は感じています。また、事業の種類によると思いますが、新しい事業はそんなにすぐに結果が出るものではありません。製品が稼ぐようになるのも同じで、出してすぐに売れるというものでもありません。感覚的には「3年はかかる」と感じています。3年かけて諦めるケースももちろんあります。ということは、他で3年間は余裕がある状態を見込めるときでないと、次の事業へのチャレンジは危険でもあるわけです。上手く行っているときこそ、次の手を考え、動き始めておくことが大事なのです。さらに、失敗もありますから(むしろ失敗の方が多いくらい)、見込みのあるものは並列で進めておくことも余裕があれば大事です(二兎を追う者は一兎をも得ず、にはならないように・・・)。

少し話しがそれましたが、中小企業は皆苦しいというわけではありません。大儲けしているところもたくさんあります。大企業に比べると、状態のレンジが広すぎるので、悪い方ばかり見ていると、「中小より大企業」と感じてしまうのかもしれません。大企業なら安心という世の中ではありません。知り合いの上場企業の社長さんが「大きくなると余裕がありそうに見えるかもしれないが、動いているお金も大きくなるので、小さいときと感覚的にそう違いはない」と仰っていました。選択は、会社が大きいか小さいかより、「自分が何をしたいか・どうなりたいか」が大切だと思います。その思いがあれば、いろいろな経験・チャレンジができる中小企業は決して悪い選択ではないと思います。

起業するのはリスクが高い、とかいう記事もいろいろありますが、やりたければやってみればいいと私は思います。人に言われたからやめよう、という程度ならもちろんやめた方が良いですが。やりたいことが「起業」ではなく、「ある仕事」であり、それを実現できそうな会社があれば、そこでチャレンジするのもとても良いことだと思います。起業すれば自分の好きにできる、と勘違いしている人が多いようですが、起業するとむしろ雑務に追われ、自分の好きなことを自分でする時間は無くなります。いずれにしても、やりたいことはどんどんやればいいのです。やれば失敗しても経験が得られますし、また次につながります。ただし、周囲を裏切るような行動は気をつけなければなりません。仕事は自分一人で完結できるものではなく、お客さん・仲間があって成り立つものです。敵を増やすようではビジネスはできません。

ということで、私は中小企業で楽しくやっていますので、中小企業の良い点・悪い点を理解して欲しいということで書いてみました。

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