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プログラミングでメシが食えるか!?

謝って、言われる通りにすればいいというものではない

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仕事をしていると、お客さんからクレームが来ることがあります。クレームまでいかなくても、「こうして欲しい」と要望を言われることは良くあるでしょう。

そんなときに、「申し訳ございません、すぐに仰るとおりに対応します。」と答えたくなる気持ちはわかるのですが、それが本当にお客さんにとって、あるいは自社にとって良いことなのかどうかは良く考えた方がよいと思っています。

たとえば、
「おたくの製品を運用しているのだけど、サーバを移設するので、環境や設定の変更に関して支援して欲しい。」
と言われて、移設のサポートをしてあげるのは良いと思います。しかし、その後、
「移設したサーバをベースに、検証環境を構築しようとしたらうまく動かない。先日移設する際に行った設定変更箇所をまとめて連絡して欲しい。最新の設定状況は御社の方で複数メンバーで対応できるように共有しておいて欲しい。」
と言われたときに、謝って対応するれば良いというものではないかも知れません。

製品のサポートは、製品が正常に運用できるように支援するためのものであり、運用を請け負うものではありません。たとえば、設定の支援をしてあげる際に、気を利かせて最新設定ファイルを一式持ち帰ることは、一見良いことに感じるかも知れませんが、実は勝手にお客さんのデータをコピーして持ち出すというのは機密保持的にまずいという見方もあります。サポートする際に設定情報が必要であれば、その際にお預かりして、サポートを終えたら削除するのが正しい対応とも言えます。

そういう背景を意識せずに、何でもやってあげていると、お客さんも麻痺してしまうものです。なんでも困ったらベンダーに聞けばいい、という感じになってしまうと、お客さん側でも運用に責任を持てない状況になってしまう可能性もあるのです。

従って、こういう場合は、
「サポート契約は、運用を請け負うものではありません。運用もということであれば、別の契約を行ってからでないと、機密保持や責任範囲の点からもまずいです。一度そのあたりの意識合わせをさせてください。」
と、まずは意識合わせをしましょう、という方向に持っていくのが正しい対応です。言いなりになればよいというものではありません。

精神的には、言いなりになる方が楽でしょう。お客さんを叱るわけにはいきませんから、丁寧に誠意を持って言葉を選び、説明しなければならず、下手をしてお客さんがますます怒ってしまったらどうしよう?と心配になるものです。しかし、本当の信頼関係は、うわべだけのお付き合いでは生まれず、言いにくいことも話し合いながら生まれるものです。適当に流してしまうのではなく、お互いにとって本来どうするのが一番良いのか、を考えて相談することが大切です。

ちょうど今日、あるお客さんから、上記のようなメールを私とメンバー宛にいただき、「もっとちゃんとやってよ」という感じのメールに対してメンバーが「すぐに言うとおりにしましょう」と対応しようとしたのですが、私が、
「支援と運用に関して、お互いの立場・役割をあらためて意識合わせして、よりよい運用ができるように相談させて欲しい。メールでは冷たい書き方になってすみません」
とお返事したところ、「その通りです。是非対面での相談の場を設けましょう。」とお返事いただき、

#メールで冷たい内容ということは気にすることはないですよ
 私は小俣様の人物を信頼しております

と書き添えていただいたのをメンバーが読んで、

何でも対応してやることだけでは、お客さんは喜ぶかもしれませんが、
会社としてはダメですね。。。

先ほどの小俣さんと**さんのメールを見ていて、
**さんが小俣さんの事を大変信頼していらっしゃることに
大変感動致しました。
私もこのように信頼して頂けるよう頑張って行きたいと思います。

と感想をくれました。

その場しのぎではなく、本当はどうすべきかを考えて行動したいものですね。それが真の信頼関係を作ってくれると信じています。

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