ソーシャルソフトウェアをビジネスに活用するには
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水曜日からガートナージャパンのSYMPOSIUM ITxpo 2009へ来ている。例年はこの時期忙しくてなかなか参加できなかったけど今回はほぼ出ずっぱりだ。3日間参加していくつかブログのネタになりそうな話を手に入れたので順次紹介していきたい。
まずは2日目の「SNSのビジネス活用シナリオ」を聞いた際のメモを紹介。このプレゼンはガートナージャパンで情報活用や情報検索を担当している志賀さんによるもの。一応このセミナーは有料なのであまり詳細までは書かないで面白そうなところだけをつまみ食い的に書いておくけど、プレゼンテーション用の資料は参加者全員に電子媒体で配布されているので興味がある人は問い合わせてみてはどうか。
- 昨今社会的にソーシャルソフトウェアに注目が集まっている。米国陸軍もここへ来てこれまでの兵士のTwitter利用禁止を改めアクセスを許可すると共にリクルーティングへの活用を始めた
- 社内コラボレーションの状況として、人々はメール洪水に悩まされており就労時間の40%をメール処理に費やしている。情報共有ツールとしての電子メールの力不足により組織内情報共有が阻害されサイロ化が進展している
- こういった問題を解決するためのテクノロジはいくつかあるが、その中でもKnow-Whoが重要だとガートナーは考えている
- エンタープライズ・サーチを導入したある企業では、ヒットして表示される結果に作成者名しか出さずに「この内容を知りたかったら俺に聞きにこい」というKnow-Who的アプローチを取った
- 今の日本のコラボレーション市場は3つのプレイヤー群に分けられる「インフラストラクチャーサプライヤー」「スイートベンダー」「(元)専業ベンダー」
- 最近のグループウェア製品別の満足度調査結果だと Outlook/Exchange、Notesの満足度が下がり、サイボウズ製品 (ガルーンを除く)、SharePoint、desknet’sなどが上げている
- Notesの不満点としては「求める情報が見つけにくい」「検索機能」「機能が多すぎて使いにくい」といった点を挙げる人が多い
- エンタープライズサーチの限界をSNSでカバーした例として、Notesに分散した情報に上手くアクセス出来ないからコミュニティを作って会話することでどこに何の文書があるかを共有できるようにした <-(吉川コメント)これはサーチの限界としては不適切、Notesの限界というべき
- SNSを構築しても積極的に参加するのは3割程度。ボランティアを募って活性化させることが重要。「ありがとう」の一言だけでも共有するように努めることから始める
- 組織内の人の繋がりを可視化するソーシャル・ネットワーク分析 (SNA) は有益。SNAの結果を活用すればパターン・ベースド・ストラテジにつなげる事が出来る
- SNAによってセントラル・コネクター(話題の中心人物)や情報ブローカー(異なるクラスタ間に所属し橋渡しをする役)の存在やそれが誰かを知ると有益
- SNSをはじめとしたソーシャルソフトウェア活用の成功ポイントは『「ツールありき」ではなく、まずはコミュニティ・オリエンテッドに徹し、後からどのプロセスにツールが使えるかを検討した点である。 』
- TwitterはSNSの新しい潮流のひとつと捉えることができる。時間軸を持ったブログ。昔の日記が時記、分記に変わってきている<-(吉川コメント)なぜかガートナーはライフログとは呼ばない、ライフログ嫌いなのかな?
- マイクロブログのビジネス活用には4パターン考えられる「直接型」「間接型」「内部型」「発見型」(参考Forbesが調べた21のTwitterのビジネス活用)
- ソーシャルソフトウェア採用時の運用面の留意点:コアメンバーの人選、ボトムアップ、インセンティブ、トップの参加、立ち上げ当初の鮮度確保、電子メールなどとの連携、業務外でのxx%ルールなどの整備<-(吉川コメント)ソーシャルソフトウェア上での立ち振る舞いの教育(ソーシャルメディアポリシー策定など)も運用上重要なポイントだけどガートナーではそこは言及せず
全体を通して目新しいことこそ無かったけども発散しがちなテーマの中できちんとポイントはおさえていて、さすがというプレゼンだった。
講演後に志賀さんと情報交換したのだが、上に出てきたSNSやミニブログのログを分析してセントラル・コネクターや情報ブローカーを自動的にあぶりだすようなツールはまだ無く、今ソーシャル・ネットワーク分析 (SNA) をやろうとしたら手作業になる。このあたりに改善余地というか新しいビジネスチャンスがあるような気がする。
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