ネットは頭の速筋を鍛える道具
競技ダンスの現役選手をやっていたときに得た知識であるが、筋肉は速筋と呼ばれる白い筋肉と遅筋と呼ばれる赤い筋肉の2種類に分けられる、というのがあった。
で、速筋は瞬発力が求められる競技で重要で短時間に大きな力を出す、遅筋は持久型の有酸素運動に適した筋肉だとか習った。
いや、なにが言いたいのかというと、最近ネットをやっていて思う事に、もし自分の頭の中の脳が速筋と遅筋に分かれているとしたら、最近は速筋ばかり鍛えているなぁということ。
特に今Twitterというより同期性の強い集団チャットをやっているからだろうか、そこに流れるメッセージを瞬間的につかみ取って即座に自分なりの返信をアドリブで返す、なんかそういうスキルというか脳の反応速度だけがどんどん鍛えられていくような気がするのだ。
私もオルタナティブ・ブログを続けて2年半になる。実はブログを書いていて以前も同じような事を感じたことがある。ブログには基本的にはその日に身の回りで起こった事象や最近聞いたニュースに対しての気づきや思いを書いている。実際にブログを書くことはとても役にたっている。でも、だからこそブログは日々流れていくフロー情報を留めるためのフロー系のツールとして非常に優れていると断言できる反面、熟慮するためのツールとしてはどうなのだろうかという疑問も時々感じる。ブログを書いていると確かに情報の収集や捕獲、反応速度などは鍛えられるのだが、なんというかどうもその結果のアウトプットまでもスピード重視というかセンス中心のような感じになっていく印象がある。
敢えて言うなら、じっくり考える力や何度も文章を練るといった重厚な思考能力が置き去りになっている気がするのだ。ブログを読み慣れると、長い論文を読むのが苦痛になってくるし、Webの解説記事でも3ページとかになると最後まで読めずに息切れしてきたりする(汗)
特にTwitterに慣れてからはこの傾向がより強くなった。誰かが、“ついったー脳”と読んでいたが、140文字以内の単純な文章へはものすごく俊敏かつ的確に反応できるのに2000文字の文章を見ると脳が悲鳴を上げてしまうのだ。最近よく「3行にまとめてくれ!」という書き込みを目にするが、確かに同意したくもなる。私の脳の遅筋が衰え始めているのだろうか。例に掲げたブログやTwitterだけでなく、今のネットでの大抵のツールは脳の速筋側を鍛える効果が高いように思う。
ネットの情報量の多さや即時性の高さは素晴らしいものだと思う。それは人々の思考形態に何か影響を及ぼし始めるだろう。でも速筋だけを鍛えた後はどうなるのだろう?人は変わってしまうのか。魚だって速筋と極めた鯛と遅筋を極めた鮪が両方生き残っているのだから人間もそういう風に分かれるのだけかもしれない。
なんか最近そんなことを考えたりしている。