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エンタープライズコラボレーションの今と今後を鋭く分析

イントラネットやエクストラネットのキラーコンテンツ

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 Web技術の発展と一般化によって、日本でもたいていの企業がイントラネットを持つようになっている。最近では単独企業内だけでなくグループ企業をつないだエクストラネット上にグループ企業向けのホームページを設置するという例も増えている。

 こうしたイントラネットやエクストラネットのトップページににどんなコンテンツを掲載すれば良いかというのは、未だに多くのWebマスターの悩みのようで、私のところにもこうした相談が来る事は多い。実際に昨年度も何例かこの分野でのコンサルティングを手がけた。この分野にはまだ体系的なメソッドは確立されていないので、様々な先進企業の事例や実際の画面デザインやコンテンツの配置を参考にしながら、個別のニーズに応えていく事になる。

 これは欧米でも似たようなものなのだろう、北米でイントラネット関係のコンサルティングを手がけるPrescient Digital Media Ltd.「Intranet information architectures」というタイトルでこうしたトップページ上のコンテンツに関する先行企業の動向を調べてブログに書いてくれた。Google、Cisco、McDonald'sなど13の主要企業のトップページのコンテンツを調べたものである。
 これによると、

  • トップページ上の主要カテゴリーの数は4~9で平均は6
  • トップページ上の最も多いコンテンツは「ニュース」(6社)
  • トップページ上で2番目に多いコンテンツは「~~について」(4社){~~は自社名}
  • そして従業員向けである人事・総務系コンテンツを6社が持っていたのに対し製品やサービスに関するコンテンツは3社にしかない

 特に最後の結果からは依然としてイントラネットを営業等の攻めに活用する企業よりは全従業員が見るための内部向けのものと位置づける企業が多い事が伺える。確かに、「勤怠管理」「旅費精算」「福利厚生手続」などの、全従業員に係わる(社内では)普遍的なコンテンツを掲載したほうがイントラネットのアクセス数は上がる。これらの手続きを紙で扱っているときは取り纏め役であるとか配送役が必要であったが、電子化するとそれが省略できるので、投資効果も得やすいという事情があるのだろう。

 しかしそろそろイントラネットを「攻め」の営業用にもっと活用しても良い時期ではないか。既にインターネットでは、検索エンジンなどを使って企業ホームページから自分の欲しい商品やサービスの情報を入手する事が一般的になった。ビジネスマンも競合他社の商品情報をホームページから入手したり、新規に訪問する相手先企業の概要やサービス内容を知るのにネットを使って調べる事は多いはずだ。
 こうした環境の変化にあわせて多くの企業が自社のホームページでの製品やサービスに関するコンテンツを増やしている。この際になぜかイントラネット側は疎かになるようだ。その結果情けない事に、営業員が自社の製品やサービスについての情報を外部向けの自社ホームページでせっせと調べて得ているというような状況になったりしている。
 外部向けホームページに載っている情報は、顧客だって調べる気になれば得られる情報であり価値は低い。他社との差別化のための情報や用途別のポイントとなる機能など公開はしていないが重要な情報こそが、競争に勝つためには重要なはずだ。どうせ外部向けに情報を掲載する手間がかかるのならもう少し手を伸ばして、イントラネットにも製品やサービスに関する付加情報を増やすべきだ。

 あと冒頭に紹介した「ニュース」や「~~について」だが、自社のプレスリリースや記事のイントラネットへの掲載が外部向けページへの掲載より遅いという会社は多い。以前にイントラネット関係で従業員にヒアリングした企業では、

「何故か朝、日経新聞を読んで自社のニュースを知る」
「社内のイントラネットより外部の記事のほうが詳しい事が判る」

 なんて意見が沢山でた。社外広報だけでなく社内広報についても目を配ったほうが良いと思うのだ。インサイダーなどの事情で詳細は伝えられないにしても、明日の朝刊で弊社製品が発表されますよとか来月号の○○という雑誌に社長インタビューが載りますよというのは、イントラネットで知らせても良いだろう。

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