一つ前のエントリーで社内での情報の重要度や価値を可視化しランキングを作成する際のアイデアや手法をいくつか紹介したが、この分野において最近注目されているのが社内ソーシャルブックマークである。ソーシャルブックマークについては、既にはてブを始めとしてインターネットで相当に利用が進んでいるのでここでは詳細の説明を省くが、インターネットでこれだけ便利に使えるツールならば、社内転用しても効果は大きいのではないかというのは栗原さんあたりも良く話されている事である。

 実は我々自身でこのアイデアは既に実行に移されており、マイネット・ジャパンと協力して「イントラnewsing」を研究開発し我々自身で既に1年半もの間試行利用している。このあたりの事例は、既にここここで取り上げられているし弊社の平古場からは詳細なレポート記事も上がっているのでそちらを参照して欲しい。
 マイネット・ジャパンによると、我々以降にも「イントラnewsing」の導入はすすみ既に20社ほどで採用されたそうだ。

 さて、「イントラnewsing」は2007年4月に発表されてしばらくは日本初かつ唯一の社内向けSBM(ソーシャルブックマーク)のパッケージ製品であったが、ここへ来て他のベンダーからも同種のパッケージ製品やサービスが発売&発表され始めており社内SBM市場が立ち上がり始めている。アセントネットワークスの「Tim social bookmark」もそれだし、先日ECナビが発表した「Buzzurl PLUS」というサービスもブックマークの共有範囲を自由に設定できるようになっていてイントラネットからの利用を強く意識しているように見受けられる。ちなみに個人で「Favgr」という無料サービスを立ち上げて研究している人もいる。やはり新しいサービス市場が立ち上げるには、こうしていくつかの新規参入があって機能競争や宣伝合戦が必要なようだ。

 社内外の情報をクリップという形式で共有するとともに、アクセス数をドライバにその情報の価値や必要性を可視化するという面で、社内SBMは従来のブログやSNSより優れているし、ログ解析よりも信頼性が高い。
 昨日書いたように、アクセスログを使っての分析では、単に眺めているという行為でも重要視して良く読んでいるという行為でも同じ1カウントになってしまう。ソーシャルブックマークの場合は、最初の情報登録時に登録作業という一手間を掛けさせる事でこれを解決している。ゲートキーパー役の登録者に「共有すべき」という意志を持って登録させることでで情報選別の機会を与えているわけである。

 昔から多くの日本企業では毎朝新聞記事の切り抜きのコピーが回覧されていたり、若手社員が定期的にニュースをまとめたメルマガを発行していたりする。昨今では新聞記事の多くがインターネット上で読めるようになってきており、こういった作業も紙やメールベースのものから社内SBMへ移行が進むと予測される。

1

 以下は実際に私がある企業に提出した際の資料の一部だが、この提案先では、従来メールマガジンの編集を行っていた作業が1日1時間から10分に激減するという試算が出た。社内SBMのブックマークレットを使って業務の合間に記事をクリップしていくだけで、メールマガジンの発行はシステムが自動的に行ってくれるからである。

2 また、新聞記事の切り抜きの回覧よりも社内SBMのほうが、情報の伝達スピードも伝達範囲も格段に優れている。
 そして社内SBMツールは、携帯電話からのアクセスからにも対応しているので忙しい営業員も電車での移動の合間に閲覧が出来るようになる。


 ユーザに聞くとブログやSNSに比較すると情報発信に敷居が非常に低いことも利点の一つだという。日本人にはブログやSNSに自分の事を書くことに抵抗感を示す人が多うが、そういう人でも記事やニュースをクリップするというのは抵抗感が低いそうだ。

 最後に一応社内SBMの欠点も補足しておくと、情報感度が低い社員や組織には、社内SBMを導入してもあまり活用が進まない。そもそも新聞を読まないような社員には、こういうツールは不要だし、日々決まった仕事を堅実にこなすことだけが求められるような業務では、余計な情報を与える社内SBMよりは、マニュアルや通達の整備を行ったほうが効果が高い。

 またタギングツールとしての社内SBMはまたまだ未成熟で、発散しがちなタグの収束や環境変化に合わせたタグの拡張、過去に蓄積された情報が溜まってきた場合の整理陳列方法など、個別に研究して拡張すべき機能もいくつかある。

yoi

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吉川 日出行

吉川 日出行

みずほ情報総研勤務。情報共有や情報活用を主テーマにコンサルティングや新ビジネスモデルの開発に携わっている。

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