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購入前の「検索」行動が満足度向上につながる

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 「サーチアーキテクチャ」という本を書いた事もあって、このところ情報検索に関する相談や引き合いをいただく事が増えてきている。しかし、この本でもひとつのテーマにしているが「情報検索」というものが、人々の行動にどう影響するのかについては未だ完全に判っているわけではない。まだまだ研究や分析が必要だ。そんな折、(社)日本新聞協会 広告委員会から公表された「2007年全国メディア接触・評価調査」の報告に情報検索についての面白い調査データがあった。この調査報告書はpdfファイルでダウンロードもできる。

 報告の冒頭での明治学院大学の清水教授からの説明にあるように、今回の調査では、消費者が購入行動を取ったときの満足度に注目している事が非常に興味深い。消費者の購買行動を「認知・関心」->「情報検索」->「購買行動」->「満足」->「情報共有」の5つのプロセスに分けて、「満足」の前プロセスとして各種メディアやプロセス行動の有無がどう影響しているかを調べたそうだ。具体的には「加工食品・飲料」「書籍・雑誌」「パック旅行(国内・海外)」「ファッション・ブランド品、腕時計」「テレビ(受信機)」「自動車」「金融商品(株・投資信託などのリスクを伴う商品)」という7つの商品分野での購買前のメディアへの接触状況を調査している。

 この結果7つの全ての商品分野において、購入前にメディアで「情報検索」行動を取った人のほうがそうでない人(54.7%)よりも満足度が高い(69.2%)とのこと(調査報告書のp.8より)。例えば、情報検索の前プロセスにあたる認知・関心プロセスでは、新聞とテレビが他のメディアよりも有効という事だが、新聞での認知・関心を経た後にそのまま購買したケースの満足度は61.0%なのに対して、情報検索を経て購買を行った場合の満足度は74.0%と13ポイントも向上する。情報探索を行うメディア別に見ると「パンフレット・カタログ」での情報探索が最も満足度が高く79.0%であり、インターネットでの情報探索は70.4%と平均より低いと言う結果になっている(調査報告書のp.9より)。

 情報検索は明らかに顧客への影響を与えているが、メディアとしてのインターネットはまだまだということになるだろうか。気になったので報告書のデータを使ってちょっとグラフを書いてみた。
20080415 調査報告書のp.10~p.13にある結果の中から、「パック旅行」を除く6つの商品分野について、新聞での接触後そのまま購入に踏み切った場合とインターネットで情報検索を行った後に購入した場合の満足度の比較をみた。「加工食品・飲料」「金融商品(株・投資信託などのリスクを伴う商品)」「書籍・雑誌」の順にインターネット検索の効果がより大きい事がわかる。この分野の企業では、ホームページ上のコンテンツをこうした購入前の情報検索に最適化する事は効果的だという仮説が得られる。
 ただし、おなじく調査報告書のp.10~p.13を眺めると「家族、友人、知人」「店舗」といったヒューマン系のメディアによる情報検索を経た場合のほうがインターネット検索よりもおおむね満足度が高い。現時点では各商品分野において最も威力のある情報検索メディアはヒューマン系のもので、昨今言われているインターネット上でのUGCの重視傾向はここにはまだ現れてきていない。

 ダウンロードできるpdfには詳細データが添付されていないので、もっと詳しい分析が出来ないのは残念だが、それでもp.10~p.13からは他にも「テレビ(受信機)」の場合はヒューマン系メディアの「店舗」よりも「パンフレット・カタログ」を経過したほうが満足度が高いとか、「金融商品(株・投資信託などのリスクを伴う商品)」の場合新聞での「認知・関心」は満足度向上には繋がらない、だとかいろんな仮説が見えてくる。
 報告書の第4章には、各メディアへの接触状況のデータもありこれも貴重なデータである。この調査は2年ごとに行っているようなので後で2年前のものと比較をしてみようと思っている。

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