オルタナティブ・ブログ > ナレッジ!?情報共有・・・永遠の課題への挑戦 >

エンタープライズコラボレーションの今と今後を鋭く分析

ニコニコ学会設立のお知らせ

»

 今日は2008年4月1日。今日という良き日を選んで、ちょっとここで重大発表をする。このところ濱野さんとメールでいろいろとコラボレーションして議論を重ねていたのだが、ついにニコニコ学会の設立へこぎ着けたのでまずは速報をここに発表。

 以下、設立発起人一同で作成したニコニコ学会の設立趣意書と役員名簿である。会則や会費なども決まり次第ご報告差し上げたい。

 参考リンク:濱野さんからの発表

(2008/04/01 12:00追記)
#既に皆さんお気づきだとは思いますが、当エントリーはエイプリルーフールネタでございます。この企画の実施にあたりまして濱野さんとコラボレーションをさせていただきました。以下の設立趣意書のほとんどは濱野さんが書いてくださったものです。どうもありがとうございました。

===

設立趣意書

 現代社会に生きる私たちは、インターネットが、驚異的なスピードかつグローバルな規模で普及・発展する、激動の状況に置かれています。そして私たちはしばしばこの状況を、「グーテンベルク」以来の《革命》として捉えてきました。かつてメディア論の大家マーシャル・マクルーハンは、新しいメディア技術の出現によって大変革がもたらされる事態を、「銀河系 Galaxy」の比喩で表現しました。文字通り、インターネットの巨大さは「天文学的規模」に達しており、その全体像を捉えることは、私たち21世紀の人類社会が取り組むべき知的課題として立ちはだかっています。

 さてその一方で、いま私たちは、インターネットという大銀河の中に、とりわけ活発な動きを見せる「小銀河系」が生まれつつあるのを目の当たりにしています。それがニコニコ動画です。誕生から1年足らずというスピードで、瞬く間に数百万人規模の利用者数を集めたニコニコ動画。そこには、とりわけ日本のネット文化を愛好する数多くの紳士淑女たちが――その多くは「ニコ厨」と自らを呼称しています――集まっています。そしてそこには日々莫大な数の動画が投稿され、その上には、脊髄反射的なコメントから芸術的/職人技的なコメントまで、多種多様なコミュニケーションが重ねられています。そしてニコニコ動画という場は、時には「プロの犯行」などと称されるようなアマチュア・クリエイターたちが腕を磨き、自らの才能を世に問う「登竜門」でもあり、莫大な数の商品が購入されていく「市場」としての役割を果たしています。

 しかし、ニコニコ動画は実際問題として会員制のクローズド・サービスであり、いまだその内側で行われている素晴らしい文化的営為の数々が、多くの人々の間で十分に理解・共有されているとは言いがたい状況です。また現状では、ニコニコ動画上で行われる文化的創作活動が、従来の法制度ないしはコンテンツ経済圏と衝突するケースも数多く指摘されています。これはニコニコ動画に限ったことではありませんが、旧メディア圏と新メディア圏の間には、ともすると敵対的な境界線が引かれてしまうことも少なくありません。

 その両者の対立を解きほぐす、あるいは両者間の間の溝を埋めていくには、ニコニコ動画という「閉じられた銀河系」を、私たちの社会にとってより《開かれたもの》にする必要が――ユルゲン・ハーバーマスに倣えば、私たちはその来るべき理念的存在を「ニコニコ公共圏 NicoNico Public Sphere」と呼ぶべきかもしれませんが――あるでしょう。そのための知的探求と啓蒙活動の場所として、私たちは日本における学術的な「コメント付き動画」研究を行うための場として、「ニコニコ学会」(英語名:NicoNico Japan)を設立することを決意しました。

 NicoNico JAPANは、いうなればニコニコ動画という存在に学術的な「コメント」を付与する学術者・研究者の集まりとして、ニコニコ動画に関する学術、技術の進歩発展と普及啓蒙を図り、会員相互間および関連学協会との連絡の場としての役割を果たしていきます。また、混迷を極める著作権関連の法律のあり方についても、「その発想はなかった」と称されるような提言をまとめていきたいと考えています。

 また国際的な見地から見ても、ニコニコ動画の学術的な研究を推進することは有意義であると私たちは考えます。ニコニコ動画というサービスの特異性は、世界的にも稀に見るものです。それは、日本で考え出され、日本で生まれ、日本で育った、新しいコンテンツの享受形態であり、新しいコミュニケーション形態といって差し支えないでしょう。このような日本初の新しいコンセプトやアーキテクチャについての言説を、海外に向けて発信していくことは、日本のクリエイティブ産業やコンテンツ文化をより豊穣なものにしてくれるのではないかと考えます。

 今後NicoNico JAPANは、学会誌の発行、例会・研究会の開催、ニュースレターやウェブ上での情報の発信を行う予定です。また、学会の模様はニコニコ動画上で公開され、動画上で討議を行うことも予定しております。

 さらに来たる2008年秋、ニコニコ学会「NicoNico Japan 2008」を東京浜町で開催する予定です。これは世界で初となる本格的な「コメント付き動画」研究の学会であり、世界のニコニコ研究家達が一同に集います。

 NicoNico JAPANは、動画・音楽を初めとするコンテンツの制作者、また動画製作ツールやプラットフォームの開発者や運営者だけでなく、動画の視聴者までを「なかのひと」に包含する自主的なアソシエーションです。私たちは、この会を会員の自主性と創造性を尊重し、会員が創意に満ちた研究・啓蒙活動、コンテンツ制作、およびコメント投稿活動を行えるような組織にしたいと思います。

 以上の趣旨に賛同いただき、NicoNico JAPAN設立発起人一同より、皆様には今後の会の活動に積極的にご参加くださいますようお願い申し上げます。

平成20年4月

役員
【会長】 二胡 怒湾呉
【専務理事】 吉川 日出行
【事務局長】 濱野 智史

【メディア/アーキテクチャ論部会長】 濱野 智史(兼務)
【情報共有部会長】 吉川 日出行(兼務)

■その他開催予定の部会

【インターフェイス技術部会】
【インフラストラクチャー技術部会】
【コンテンツ表現論部会】
【ビジネスモデル論部会】
【法制度分析部会】
【認知科学部会】
【物語論部会】
【人口音声部会】
【森林妖精部会】 なつみかんの中の人

…等多数開催予定。

===

Comment(0)