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エンタープライズコラボレーションの今と今後を鋭く分析

検索エンジンはどこへ向かうのか

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 FASTForward'08関連ネタ。FASTはエンタープライズ向けの検索エンジンベンダーではあるが、自社の製品名をEnterprise Search Platformと呼び、単なる検索エンジンでは無いと常々言ってきている。
 そんなFASTが思い描く検索エンジンの未来というかコンセプトを簡潔に表しているのが以下に添付したスライドである。
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 実は検索エンジンの機能の一つにクローラーという機能がある。これはネットに繋がれている様々なサーバを検索エンジンが自動的に駆けめぐってそこからデータを取得してくる機能である。元々システムのデータというものはそれを保存しているサーバ毎におのおのが勝手な形式で保管・発信しているのだが検索エンジンは様々なデータ形式のサーバから取得したデータをいったん自分のデータ形式に変換してからインデックスに収納する。
 このクローラーの特性を活かして組織の中のWebからデータベースからマルチメディア、そしてワークフローまで全てを扱えるデータハブがサーチであり、そしてサーチは全てのデータをインデックスに貯めているので、それを整形したり再加工したり次にサービスに受け渡すのも自由自在にできるというのが上の図である。彼らがサーチをプラットフォームという所以はここにある。
 彼らが示している具体的な例のスライドをもう一つ紹介する。
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 従来検索エンジンは、Web上のHTMLやWordファイルの文章といった非構造データを扱うのに長けていた。しかし、いまやクローラーはこれらのデータをXMLベースのセマンティックな情報として認識する。またクローラーはORACLEを始めとする構造化データ(ここではデータベースに格納されたデータ)へもアクセスできるようになった。従って検索エンジンは非構造データと構造データを繋ぎ関係づけて処理することが出来るようになったというのである。

 少なくともエンタープライズサーチは、既にEAIやEIIといったソリューションの領域に踏み込み両者の垣根は無くなってきたと私は思っている。

 そして、こうしたデータハブの方面へ進出すると当然各リソースとの接続やその定義などが大変になる。その面については、FASTから今回Studioと呼ばれる新機能の紹介があった(これもスライド参照)
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 どうやらこれを使うと企業内のデータベースやWebそしてドキュメントまでをFAST ESPで一元的に読み込んで、Feedsなりドキュメントなりに加工して提供すると言った作業をYahoo!Pipesのようにビジュアルに簡単にできるようになるらしい。こうしたUI面の充実も昨今の流れに乗ったもので私には納得感が強い。

 とりあえずFASTはこうした方向へ動くと発表したものの、Microsoftへの買収話も進んでいるので実現までの時間としては若干微妙なものがある。しかし、特にエンタープライズの分野においてはおおむね検索エンジンは皆この方向へ進むものだと私は予想する。
 国内だとジャストシステムやアクセラテクノロジ、ビジネスサーチテクノロジといった検索エンジンを主力にしているベンダーがいくつかあるが、直に彼らからもこうした方向性が明確に出てくるだろう。

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