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エンタープライズコラボレーションの今と今後を鋭く分析

2008年の注目キーワード

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 皆様、新年あけましておめでとうございます。2008年が始まりました。この「ナレッジ!?情報共有・・・永遠の課題への挑戦」ももうじき3年目を迎えますが、今年もよろしくお願いします。


 さて、年初のエントリーと言うことで例にならって今年の予想というか、私が今年に注目したいIT関係のキーワードや分野をいくつか挙げてみたいと思う。

UGC(User Generated Contents)

 まずコンシューマ向けで2007年を振り返ると、前半がWeb2.0で後半はニコニコ動画と初音ミクだったと思う。2008年もこの流れを引き継いで、UGCの増量、認知度向上が進みそれに伴ってUGC関連のプラットフォームビジネスや法制度の整備などが加速度的に進むのではないかと思っている。ちなみにUGCはCGMとほぼ同じ意味で、『プロの作り手ではなく、一般の人々によって作成されたさまざまなコンテンツの総称』を示すキーワードである。ブログが普及したときもUGCの台頭を多くの人が予測していたが、それはあくまで口こみや評判といった既存のものに付随しての情報伝播の形態への注目だった。
 それがニコニコ動画と初音ミク(VOCALOID2)の登場によって、テキストや写真という表現の殻を破ったUGCは、アニメーションなどの動画作品や音楽作品へと急速にリッチ化している。従来と違ってUGC自体がパワーを持ち価値を生み出す可能性が見えてきた。既にクリプトン・ヒューチャー・メディア(株)は、“CGM(の支援)を志向する"と宣言し、CGMエンジンとなる「ピアプロ」、既存メディアの「うぇぶたまww」とのコラボ企画などを次々と打ち出しているし、他からも手塚治虫作品を2次利用できる「オープン・ポスト」といったサービスも試験運用され、ビジネス化やマネタイズへの試みが始まっている。今年はUGCが一般に認知されるようになり、その結果として未だ不十分な法体制などの整備元年になるのではないか。

次のコミュニケーションツールと新しいストック系のツール

 コンシューマ向けで他に注目している分野は、コミュニケーションツールの次の動きとコンテンツマネジメント系アプリケーションの新しいツールである。先日朴さんの「ミニブログの本質は?」にコメントとしてちょっとだけ書いたが、インターネット上のブームの変遷は、ホームページ->メッセンジャー(ICQ等)->匿名掲示板(2ちゃんねる等)->ブログ->SNS->ミニブログ(Twitter等)と来ているが次は何か。実名で濃いコミュニケーション(SNS)のあとに半匿名で緩いコミュニケーション(ミニブログ)が来たので、次は実名側に揺れ戻すのか逆にさらに匿名&緩い側に振れるのかは興味深い。個人的にはまた実名側に戻りそうな印象を感じている。
 あと、最初のホームページ時代には、世の中に「まとめサイト」というのがあって特定のテーマに関する情報を上手に纏めて蓄積していた。ところがその後のインターネット上のコンテンツマネジメントアプリケーションがブログに席巻されてしまった為に、まとめ情報すらブログの1エントリーで発信されるようになってきている。まとめ情報までフロー情報になり下がってしまったのだ。一応最近の「まとめサイト」はWikiを使って構築することが多くなってきているが、今のWikiの機能だけではあまり使いやすいとは言えず、この「まとめサイト」により適したストック系のツールがじきに出てきて、広まるのではないかと予想しているのだ。

 さてエンタープライズ向けでは、「コンプライアンス不況」と「社内コミュニケーション」に注目している。

コンプライアンス不況

 コンプライアンス不況は、(株)フィナンシャル代表の木村剛氏が昨年末に言い出したキーワードで、過剰なまでのコンプライアンス意識の高まりとその対応作業の増大に音を上げて、現場での余計なコストの増加と不必要な萎縮の発生を問題視したものである。今年は昨年に引き続き内部統制強化の為のシステム投資やIT活用への取り組みが行われるのは確実だが、その際に現場のユーザに立った対応を行うかどうかで企業の競争力に差が出始めるのも2008年からだと思うのだ。
 実のところコンプライアンス対応はやればやるだけキリがない、だから監査部門やコンプライアンス担当者は次から次へと既存の仕組みのアナやリスクを指摘する。彼らにとって沢山指摘する事が自らの存在目的であり評価に直結するのだから当然だ。また不祥事などが起きた際のリスクの予測は完全にはできないので被害予想額は無限大になる。これに萎縮して経営層が監査部門やコンプライアンス担当者からの提案を鵜呑みにすると、結果として現場が大混乱になったり、定められたルール以外は一切何もやらないことがベスト戦略という意識を現場に植え付けてしまう。
 ここで求められる上手な折り合いというのがどんなものかは、私にも分からないが、それを上手くやった企業が次代の勝ち組になることは間違いない。

社内コミュニケーション

 ナレッジマネジメントや情報共有のコンサルティングに携わっていて、昨年くらいからとても良く聞くようになったのがこのキーワード「社内コミュニケーション」である。最近いろいろな企業で社内コミュニケーションのあり方について検討が始まっているようで、そこへ外部コンサルタントとして参画するケースが増えてきている。
 M&Aや組織改編によって顔と名前が一致しないどころではなく同僚にどんな人がいるかが全然わからなくなって機会損失した、コスト削減のための人員抑制で相談できる同業務担当者がいなくなったためにノウハウの転用や共有が進まない、組織が新しい為に社員の帰属意識がなかなか高まらず仕事をやってもベクトルがバラバラ、など、このキーワードの背景や解決の意味するところは会社によって異なる。
 最近の日本企業では業績が回復して投資余力が出てきたこと、成果主義によってチームプレイが軽視された弊害が目立ってきたことなどの組織側の事情だけでなく、実は時短や勤務時間管理の徹底によって、会社で余力用の時間を使えなくなって一体感や仲間意識が欠乏している事を自覚した社員の存在もこのキーワードに注目が集まっている理由のようだ。
 社内コミュニケーションの改善の為には、ITだけではなく昔のタバコ部屋にあたるコミュニケーションルームの設置や人材交流機会の創出や私的勉強会の支援によるリアルな顔合わせの場づくりなど、総務・人事的な施策も必要なので、情報システム部門だけでなく全社をあげて社内コミュニケーションに取り組んだ事例が今年後半にはいくつか出てくるだろう。

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