若手営業員の育成ニーズとそれに対する考察の話の続き。
前回書いた「商品/サービス自体に関するナレッジ」や「業務プロセス処理に関する知識」よりも「顧客に関するナレッジ」や「マーケット全体に関するナレッジ」は、マニュアルやeラーニングといったツールでの伝承が難しい。これらは形式知になっていないことが多いことからだ。
3.顧客に関するナレッジ
自分の取引先の顧客が今どんなニーズを持っているかとか、何を課題として認識しているかをきちんと形式知にしている会社は案外少ない。例えば顧客や業界で使われる特殊用語などは、希に気の利いた先輩が辞典的に纏めてくれたりしているのを除けば、後はその都度質問するくらいしか若手営業員には学習の機会がない。
この分野の形式知化情報は強いて言えば過去の営業日報などになるので、若手営業員に担当先の過去の営業日報を時系列的に読み直させることくらいが座学でできる教育法だ。後は、顧客の事情や特徴を先輩から話して聞かせるか、自分が実際に営業して肌で感じることになる。
あとこの分野のナレッジには、顧客側のキーマンが誰だとか、その人は飲み会や接待でどう扱えば良いかといったものも含まれるが、ここまで形式知化している企業はほとんどなく、やはりOJTでの伝承が中心になる。
IT的には、一応SFAソフトウェアがこの分野のナレッジの共有や新人への伝承の支援ツールということになる。営業日報に過去のコンタクト履歴を細かく登録管理させて後から活用するというSFAは、蓄積された情報を使う側の若手営業員や管理職にはメリットが非常に大きいソフトウェアである。
4.マーケット自体に関するナレッジ
自社やその製品/サービスの置かれた市場全体の状況に関する情報は実のところ社内にあまりない情報である。本来はマーケティング部門や営業統括組織がこういった情報をきめ細かく収集してかみ砕いた上で営業担当者に還元するべきだと思うが、それができている日本企業は希である。
また昨今マーケットはめまぐるしく変化することを踏まえると、所詮こうした中央統制的な情報提供には限界があって、やはり最後は各営業員の情報敏感度とか情報反応性を高めるしかない。
この分野のナレッジを若手営業員に身につけさせる方法の基本はニュースを読ませることだと私は思っている。新聞をきちんと読ませること、顧客のニュースで公知の事を知らないのは恥ずかしいことをきちんと認識さえるとともに、自分の業界およびその周辺で起きる動きを入手する姿勢と入手した情報を噛み砕いて考える力をつけさせることは、日々の会社生活の中で教えるしかない。だから昔からこの分野のナレッジはOJTだとか徒弟制度でしか伝承できないとされていた。
で、最近私が注目しているのは、インターネット上のCGMサイトという場やや企業内SBMといったツールである。価格コムに代表されるようなCGMサイトで自社及び他社の製品の評判を聞いたり、特定のニュースに関する各種の意見をSBMで集約すれば、若手営業員のマーケットの理解が促進されるのではないか。そんな仮説を持ってこれらのツールをウォッチしている。
(あと、一回続く)
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