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エンタープライズコラボレーションの今と今後を鋭く分析

人々はべつやくメソッドを使って何を伝えようとしているのか?

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 先日紹介したべつやくメソッド(円ぐらふで表わそう)であるが、さっそくブレイクしたようで先週はいくつものブログで円ぐらふが掲載された。一部では「今年の流行語大賞に!」という声が出るほどだ。そして、それらの中には「この手法は使いこなすにはテクニックが必要だ」という論評も含まれている。
 べつやくメソッドという可視化手法の今後の可能性に非常に期待している私としては、こういった声に答えるべく更に分析を加える必要性を感じている。この円ぐらふを使った伝達方式が得意とするのは何か?どういうものを伝えるときに円ぐらふがより効果的なのかといったことを明らかにしていく必要がある。

200741524126406  幸いなことに先週1週間でべつやくメソッドの普及がかなり進んだので、このメソッドを使用した円ぐらふがかなり沢山入手できるようになった。これを手がかりにまずブロガー達が何を伝えようとしていたのかを分析しそこからべつやくメソッドに対するいくつかの仮説を導きだしたい。
 調査対象としたのは、4/8(日)~4/14(土)までの1週間のブログ。Yahoo!のブログ検索で「べつやくメソッド」というキーワードによる検索を行い、それらのブログに掲載されていた円ぐらふを分類してみた。対象となったのは、124130個のブログの183191個の円ぐらふである。この各円ぐらふが表わしている内容を割合別に円ぐらふにしたのが左のぐらふである。
※この分類は、私が勝手にブログとぐらふを斜め読みして行った結果である。したがってブロガー本来の意図とは若干離れているかもしれない。また誤りや誤解もあるかもしれない。元データとして、ブログのエントリー名とURL及び分類結果を当エントリーの最後に添付しておくのでもし間違いがあればご指摘いただきたい。
 
 結果は、この調査の途中で既に感じていたのだが、ブロガーが使うべつやくメソッドの円ぐらふの利用方法として最も多いのは感想であり、これが全体の6割にのぼる。特に映画や音楽、ゲーム、本といった作品に関する感想が非常に多い。べつやくれい氏が最初に唱えた「思い出を円ぐらふにあらわそう」という趣旨に最も近い、イベントに対する感想(例えば最近行った結婚式の思い出)というのもこの中には含まれている。感想の中には当然評価も含まれており、それが項目の順番や比率として表出化することで、文章では表わしにくい複数の印象や心情から成る複合的な評価(感想)を説明する事に対しておおくのブロガーが円ぐらふの利点を余すことなく活用している。 

仮説1:べつやくメソッド(円ぐらふ表記)は、作品やモノに対する感想や評判を表わすのに優れた手法である。

 次に多かったのが現時点での心情や状況を示す状況・気分・心境というカテゴリーでこれが15%強あった。先週の@ITでの垣内記者による紹介では、円ぐらふでの表記方法について

 べつやくメソッドは、自分の感情をイエスとノーの二極だけでなく、複数の要素で表すことができる。(中略)べつやくメソッドはその感情の複雑さを一目で理解させてくれる。

との解説があったが、まさにこのブロガーの日々の複雑な心境を示す活用法がこれにあたる。

 さて、時制面でみると、感想・評価は過去に対する感情、状況・気分・心境というのは現在の心情の表現となるが、面白いのはべつやくメソッドを使って未来への思いを表現するブロガー達がいたことである。べつやくメソッドに触発されて、自らの今後の予定や将来への願いを円ぐらふで発表するという行為を行ったブロガーは全体の6.56.3%にも昇る。これまで人の未来思考を表出化させるのに有効なツールというのはあまり無かったように思う。この面でのべつやくメソッドの可能性は無視できない。

仮説2:べつやくメソッド(円ぐらふ表記)によって、人々の今後の行動が表出化されやすくなる可能性がある。

 意外だったのは、意見を述べる際の補完ツールとして円グラフを利用するブロガーがほとんど見られなかったことである。ブログは一般人にもたらされた手軽な情報発信ツールとして注目され、ブログを使えば一般人でもジャーナリストと同じように自分の意見を発表できると言われている。この意見表明時に円グラフを活用するブロガーは皆無であった。私が当初に持っていたひとつの使い方イメージは間違っていたわけだ。この理由は、意見を述べるときは、断言的口調や対決的手法をとらざるを得ないことが多く、この場合に複雑な感情の割合を表現する円グラフという手法は、向かないのだと今になって考えを変えた。実際今回の調査対象となったブログにアルファブロガーと呼ばれる論者達のものはほとんど登場していない。

仮説3:べつやくメソッド(円ぐらふ表記)は意思表明には向かず、ディスカッションやディベートの際には使わないほうが良い。

 仮説3はちょっと意外である。そもそもべつやくメソッドの元ネタになったCMではグラフを利用することをビジネス的で面白みが無い、と表現していたがこれと反する方向の仮説だからである。

 べつやくメソッドが登場してまだ1ヶ月しか経過しておらす、上記の仮説はまだまだ検証が必要である。しかしながら、昨今世の中では評判情報がCGMと呼ばれて注目されている。上記の仮説1や仮説2は、このCGMの活用の面でもべつやくメソッドの今後の高い可能性を予感させる。現在のCGM活用の代表的なサイトであるアマゾンドットコムやカカクコムなどでは、これまでテキストによるコメント以外に5点満点のポイント法等を併用していた。ここでちょっと強気にでるならば、私は今後このポイント法に円ぐらふが追加される、あるいはポイント法に円ぐらふが取って代わる可能性が高いと予測する。(注)これについては既にトーンコントロールにて具体的に実現イメージが作成されていた。
 
 さて最後にせっかくなので今回の調査で得た定量的結果を以下に3つの円グラフにして紹介するとともに、元データをEXCELでアップしておく。これらのデータが他の研究者の助けになり、今後さらなる研究が進むことを期待している。
 
※なお文中の円ぐらふのほとんどは「べつやくメソッド用 円グラフ作成君」にて作成した。

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===2007/04/15

 ITmediaのサーバの調子が悪く、集計データのEXCELファイルがアップロードできません。取り急ぎ、感謝の意を表して集計に使わせていただいたブログのエントリーには一応トラックバックを打たせて頂きまして、ファイルは後日アップいたします。

 ※トラックバック不要の方は削除してください。

===2007/04/16 AM

 ブログの見直しとチェックを行ったところ、見落としと集計ミスを発見したので一部数字を変更しグラフを差し替えました。

===2007/04/16 PM

 今回の調査に使ったワークシート(EXCEL)を以下にアップロード。

blog.xlsをダウンロード

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