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エンタープライズコラボレーションの今と今後を鋭く分析

WebAPIの普及に思う

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 先日立ち寄った本屋ふと手に取った日経ソフトウェアの特集が「WebAPIプログラミング」だった。で、なんとなくそれに惹かれた私は結局その場でかなりその記事を読み込んでしまった。その日の帰宅後に、この記事の著者の一人である松岡さんの「WebAPI とオレってばスゲー感 2.0」を読んで納得感とともに、最近YahooPipeなどの紹介をみていてずっと私がおぼろげに感じていたモノがなんかわかってきたような気がした。

 WebAPIを使うとパーツの組合せ的な作業だけで凄いアプリケーションが出来あがることなんだと。いまさらなにを言うのかという人も多いかもしれない。ちょっと失礼な言い方を承知で書くと、最近のマッシュアップでできたアプリの出来映えはスゲー!と思わせるものばかりだが、あれ後ろの仕組みってWebAPIのおかげで結構単純なんだという言うことに改めて気づいたわけだ。既に技術者としては古くてカビの生えてきたような私でも改めてWebAPIを勉強しなおしてなんか作ってみようかなんて気になってくる。

 実のところこういった印象は初めての経験ではない。その昔にVBが開発ツールとして全盛の時代にも、OCXパーツなんかを組み合わせてちょっとした画面を簡単に作れるようになったのを見て、スゲー!と思ったことがある。それまでCOBOLでオンラインシステムを組んでいた私にとってはあれは画期的な出来事だった。

 だから今回のWebAPIも急に出てきた流れというわけではなく、ソフトウェア業界における、「プログラミングに関する高度なスキルが無くてもアプリケーションが簡単に出来る」「(部品となる)モジュールの再活用で開発作業を革新する」ようにしていこうという流れの一環なのだと思う。ソフトウェア産業が真のエンジニアリング産業に脱皮していこうとしている証拠だと捉えている。

 機械の分野にはエンジニアリングという分野があって、これはある目的に最も適った機能を実現するために人的資源やソフトまで含めた仕掛け全体を実現するために行う一連の活動を指すことになっている。例えばこの前の深夜のニュースでは、魚をコンベアに乗せると自動的に開いて骨を全部とる機械を紹介していたが、こんな機械を各種の刃モノとかローラーといったパーツを組み合わせていって考えていくことがエンジニアリングだ。あるページには

 エンジニアリングとは、「物」と「物」との組み合わせによって生まれる機能を追及するソフト技術

だとも定義してある。で何が言いたいかというと、WebAPIによって我々ソフトウェア産業も今度こそ、そこまで来たのではないかと。だって機械の世界のエンジニアリングでは、ボトルやネジから設計することはほとんどないのに、我々は今までいつもソースの1行から作ってきていた。そろそろここからは解放されても良いはずだ。

 さて、当然こうした動きを助成するためにはWebAPIを提供するサービスの数がもっともっと増える必要があるだろう。それは、このところWebAPI開発コンテストが連発して開催されていることにも繋がっていそうだ。

 リクルートサン・マイクロシステムズは、17の協力企業や団体と協力して開発者向けのマッシュアップコンテスト「Mash up Award 2nd」を開催している。エントリー期間は来週の3月12日までである。

 ヤフーもYahoo! JAPANが提供するAPIを活用したWebコンテンツ・アプリケーションのコンテスト「Yahoo! JAPAN WEB APIコンテスト」を開催しており、こちらは4月30日までだ。

 コンテストがにぎわって面白いマッシュアップアプリケーションが沢山発表されて、それを機会にまた新しいサービスベンダーがWebAPIを公開するようになってという風な好循環が生まれると良いなと思う。

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