競合他社の情報を入手するより自社の他部署のことのほうがわかりにくい
アクセンチュアから非常に面白い調査結果が発表されている。「Managers Say the Majority of Information Obtained for Their Work Is Useless, Accenture Survey Finds」という調査によると大企業では、他部署が何をやっているかという情報を入手することは競合他社の情報を入手する以上に大変で、ミドル・マネージャーたちは1日の業務時間のうち4分の1を情報探索に浪費しているというのである。
これは2006年6月に米国と英国で売上高5億ドル以上の大会社に勤務するマネージャー以上の肩書きを持つ1009人に対して行ったWeb調査の結果で、大企業における情報探索や情報流通について質問を行っている。
アクセンチュアのホームページのプレスリリースに1月4日付けでこのサマリーが掲載されている。正確な情報や詳細は発表元にあたって欲しいが、調査結果には興味深い内容が多いのでざっと以下に紹介する。残念ながらアクセンチュアの日本法人サイトには今のところ該当リリースが無いので、紹介にあたり私のほうで簡単に要訳させていただいた。
- ミドル・マネージャーは1日の業務のうち最大2時間を情報探索のために費やしている。しかもその結果として得た情報の半分はまったく役に立たない情報である。
- 回答者の半数しか、会社が彼らの求める情報流通の仕組みを整備していると思っていない。
- 59%が組織内での情報管理が不充分な為、会社のどこかにあるはずの貴重な情報を見つけられず困っている。
- 42%は、週に一度は間違った情報を使うという。
- 役に立つ情報は受け取る情報の半分以下だと53パーセントが回答。
- 他部署の情報が得にくいという回答が45%もあり、これは競合他社の情報が得にくいという31%より高い!
- 半数以上(57%)は、情報を集めるために多数のソースを見に行くのが大変だと思っている。競合他社、顧客、プロジェクトの責任者や他の部署から情報を得るために平均で3つの異なった情報源を使う必要があるとしている。
- 回答者の40%は会社の他の部署は情報を共有するのを望んでいないと思っているし、36%は情報が多すぎて必要な情報を見つけるのにかえって時間がかかると回答。
- 調査対象のマネージャーの大部分が、最も貴重な情報は彼らのコンピュータのローカルフォルダか個々のメールアカウント中に保管すると答えている。
- たった16%だけがイントラネットなどのコラボレーティブワークプレイスを使うと回答。
如何であろうか、この調査は米英の大企業でのものだが、私の経験から言うと日本企業でもほとんど同じような結果になると思う。私の周りにいるナレッジマネジメント系のコンサルタント数名にもこの調査を見せて意見を聞いてみたが、概ね予想通りという回答であった。
この調査の後半部分では、回答者をcustomer service, finance/accounting, human resources, information technology, sales/marketingの5部門にわけて部門毎の傾向も分析している。
- IT部門と人事部門では、特に情報が多すぎると感じている。
- IT部門は他の部門以上に得た情報に価値がないと感じ、他の部門以上に業務時間を情報探索に費やしていると回答。
- 他部門の情報の入手が難しいと最も思っているのはカスタマーサービス部門、多数の情報リソースへのアクセスが大変だという意見も一番多い。
- 情報探索や情報アクセスに充分な投資をしたという意識は財務部門が一番低い。同じく会社が情報流通の仕組みを整備していると思っている割合も同部門が最も低い。
- IT部門と財務部門では、3分の1のマネージャーが平均すると1日に1つ貴重な情報を見逃してしまうと思っている。
- 販売部門ではインスタントメッセーンジャーの使用割合が最も低く(19%)、PDAの利用割合も財務部門(16%)に次いで下から2番目(19%)という結果。
こちらのほうは、若干日本と米英では傾向が異なるかも知れない。特に一番最後の営業部門でのインスタントメッセージングやPDAの利用割合が19%というのは、日本から見ると驚くべき高い数字だと思う。