情報産業、生産性に1.6倍の差
会社で購読しているBCNの12/11号をなんの気なしにめくっていたときにこのタイトルが目に入ってきた。
IPAの行った情報処理産業経営実態調査の報告を記事にしたものらしい。28回目となる今回から当産業における労働生産性の調査項目が加わっているが、この結果が実に興味深い。
ソフトウェア開発業に属する企業のうち、パッケージソフトなどのプロダクト中心の会社の生産性は6,335円であり、受託ソフトウェア開発中心の会社のそれ4,029円とで1.6倍の開きがあるというのである。ちなみに情報処理産業にはソフトウェア開発業以外に情報処理サービス業というのがあり、こちらの業種の生産性は両者のほぼ真ん中の5,008円ということである。(図参照:出典はIPAの「第28回情報処理産業経営実態調査報告書(概要)」)
OSSを含め既存のソフトウェアプロダクトを有効に活用した企業は、開発や納入コストの削減に成功し、顧客に対しても高付加価値のソフトウェアを生み出せるとされているというBCNの記事は、今後のこの産業の進む方向を予測させる。記事ではこの数字を、仮に顧客の要求仕様に合わせるためのカスタマイズが発生したとしても、ゼロから手づくりするよりは格段効率が良い証拠だともしている。
パッケージとまではいかなくてもテンプレートやスケルトンをベースにシステム開発を行って、高品質のものをより早く顧客に提供することがプロダクトベンダーそのものの利益にもつながるというのであれば、これは両者にとって良いことだ。最も前例の無い本当に新しいシステムなどの場合は、パッケージなどの流用は難しく、やはりゼロから作るしかないわけで逆張りではないがこのように何も無いところからモノを作り出せる会社も、今後も強い競争力を持つだろう。たぶん、仕様を決めてくれれば全部作りますという姿勢の会社が淘汰されていくのだと思う。
ちなみに冒頭のBCNの12/11号のこの記事の下にはネットスイートの日本進出にあたってSaaS市場の分析を行った記事があり、こちらも非常に面白いので興味のある方には一読をお勧めする。