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エンタープライズコラボレーションの今と今後を鋭く分析

部長席の位置と立席会議スペースで情報流通を実現

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 ナレッジマネジメントというキーワードで組織内情報共有関係のコンサルティングや製品を売っていると、時々訪問した会社で上手に組織内の情報共有をやっているすばらしい仕組みに出会うことがある。ちょっと前にある会社にノウフー(know-Who)の仕組みの売り込みで訪問したときのことである。ひとしきり打合せをした後に、相手の部長さんから「うちでは今ある取り組みをやっているので、それよりも費用対効果が高ければ検討しよう」と言われた。早速その試みを教えてもらったのだがこれがすばらしかった。

 その部長の問題意識はやはり部内での情報共有や情報流通のあり方についてであり、この問題解決のためにとった施策は部屋の配置換えだそうだ。

 まず部長の席を窓際ではなく入り口の近くに変えたそうだ。通常部長の席は窓際の一番奥にあるがそれでは部員が何をやっているかが分かりにくい。ところが席を入り口側に変えることにより皆の動きが一目でわかるようになるそうだ。部下がパソコンで何を操作しているか、部外の誰かが相談に来る、打合せなどで誰がいつどこかに出かけていくかといったことを把握することが部内の情報共有の第一歩だと言う。
 もうひとつ部長と部下という縦の流れだけでなく横での情報共有を促進するための手段として、部屋の真ん中の柱にホワイトボードを掛けその前に立ち席用のテーブルを用意した簡易打合せスペースを設けたそうだ。日々の業務の中の簡単な打合せを部屋の真ん中のこのスペースで処理することで、部内で他の社員が今何の業務を行っているのか、何に困っているのかといった情報は自然に共有される。立席方式なので会議を早く終わらせようという意識も働くので無駄な打合せ時間もなくなるそうだ。そして当然このスペースも部長の席から見える位置だし話が聞こえる距離になっている。

 以前にも書いたがナレッジマネジメントとは企業内風土改革に近い。風土を変える手段はシステムだけではない。この2つの仕組みのすばらしいところは、どちらもコストがほとんどかかっていないことで、部長が決断すれば明日からでも取り組める内容である。高価なコンサルティングや製品を入れる前に、こんな簡単な試みから始めるのも一考であろう。

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