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エンタープライズコラボレーションの今と今後を鋭く分析

ナレッジマネジメントモデル

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 前回のエントリーでプレゼンテーションの資料を配布出来ないことにちょっと触れたが、違った見方をするとせっかくセミナーで情報公開をしても紙で配布をする限りその場に参加した人だけへしかノウハウは提供されないわけで、たまたまその場に参加できなかった人はそのノウハウを再活用できないことはちょっともったいないとも考えられる。
 たぶんそういう事にも配慮して、最近ではIBMを始めいくつかのベンダーがセミナーでの配布資料をホームページからダウンロード提供するようになり、最近では講演者自身が自分のサイトやブログで公開しているのもちらほらと目にするようになった。
 前回情報公開に否定的なことを書いたお詫びというわけでもないが、ここでは我々が開発したナレッジマネジメントモデルの1つを紹介する。ちなみにこの分野でもっとも有名なのは野中先生のSECIモデルである。我々のモデルももともとはSECIモデルをベースとしたものであるが、さらにプロセスを細分化することでより分析や検討を行いやすくしていることと、最終的に施策やツールに落としこむことまでを考慮しているのが特徴である。
 我々が組織や活動の分析や調査を行うときにはこの図の8つのプロセスにあてはめて順番に考えていく。そういう意味ではモデルというよりはフレームワークと呼んだほうが適切かもしれない。

 企業活動において各社員は、

  • [表出]・・・個人の頭の中に埋もれている情報や知識を表に出す工程。議論や質問による誘発が有効.。
  • [収集]・・・ 業務の遂行のために情報を集めて取捨選択する工程。社内外の膨大な情報を迅速に収集する必要がある。
  • [蓄積]・・・ 作成・収集された知識を保管・蓄積していく工程。対象情報の種類や特長によって一時的保管と恒久的保管が使い分けられる。
  • [検索]・・・ 膨大な蓄積情報や蓄積データから目的の知識を素早く探し出す工程。この工程の効率化は、業務遂行効率化に直結する。
  • [体系化]・・・ 膨大な蓄積情報をニーズに合わせてユーザーにわかり易く分類する工程。再利用性が高まる。
  • [誘導]・・・ 各ユーザの業務・役割・嗜好にあわせて、蓄積を行い、体系化後の情報を誘導する工程。人と情報の距離を短縮化する。
  • [連結]・・・ 情報や知識を持っている人やモノ同士をつなげる工程。新しい情報や知識を生み出すきっかけになる。知識の創出には重要。
  • [内面化]・・・ 理解した知識、使った情報をユーザ自身の言葉や経験として血肉にしていく工程。

という知識活動の各プロセスを繰り返しながら業務活動を行う。したがってSECIモデルと同じようにこの全体のサイクルをなんども循環することが大事であるし、各プロセスの支援や全体の循環促進を行うことがナレッジマネジメントの実現と企業競争力の強化につながると考える。すなわち組織におけるナレッジマネジメント実現のためには各過程での作業を支援するツールや施策の導入が有効だといえる。

 ちなみにこのフレームワークで最近の企業を分析すると、[収集][蓄積][検索]といったサイクルの上半分だけは実現したり支援する仕組みの導入が進んでいるが下半分のサイクルにはほとんど未注目・未着手、という結果になる事が多い。

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