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AMD Fusion Developer Summitの感想

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WWDC 2012の裏開催的に6月12日~15日においてAMD Fusion Developer Summit 2012(AFDS 12)が開催されていましたので、その感想を。

詳しい記事は以下などが参考になるかと思います。

AMDがロードマップ公開、次世代コアSteamrollerや次々世代Excavatorの姿が
AFDSでAMDがCPUロードマップを刷新、サーバーにもAPUを投入
一般プログラマにもヘテロジニアスコンピューティングをもたらすHSA

GPUを活用を促進しようと言う団体としてHeterogeneous System Architecture(HSA)に参加する会社にARM、Imagination Technologies、MediaTek、Texas Instrumentsがあります。

若干弱者連合かなと思わなくもありませんが、ARMとImagination Technologiesが入っていると将来的に明るい可能性があります。特にPowerVRももしかするともっと大きくなる可能性がありますしね。

IntelもNVIDIAも入っていないため現時点ではそれほど強い団体とは言えませんが、AMD一社でやるよりも悪いことではありません。ただ、Qualcommが入っていないのは何か理由があるのでしょうか。Qualcommは独自GPU(といってもAMDから買収したIP)を持っているのですから。

また、Appleあたりの参加があっても面白かったのではないかと思います。TIがいますし、Microsoftとの関係ものありますから。Appleは自社でCPU設計していますし、モバイル市場に一定の勢力を持っていますし、以前にOpenCLにも関係していたため、HSAに参加しても良さそうな気がしないでもありません。

Microsoftも基調講演があったようですが、日本語の記事が見つかりませんでした。以前からMicrosoftはヘテロジニアスマルチコアに対して開発を提供すること明言していたのである程度HSAにもコミットすると思いますが。

"AMD Financial Analyst Day 2012"で明確にアナウンスされていなかった2013年のサーバCPUのロードマップが明確に出てきました。28nmで製造されます(時期的には当然だと思います)。

また、将来的にサーバにもGPUを搭載すると明言しています。これは非常に難しい問題だと思います。現在、モバイルからPCまでのクライアントCPUにはほぼ全てGPUが搭載されています。盛り込まれたのは、コスト及び盛り込めるトランジスタがあまったからと言う後ろ向きな理由だからです。

また、ほとんどがGPUとして使用しGPGPUとして活用されていません。

このため、サーバCPUに搭載する必要性は今のところ特にありません。ただ、HPC分野ではNVIDIAのGPUを搭載したシステムが増えていることを考えるとサーバ市場でもGPUを搭載する需要はあるかも知れません。

ですが、HPC分野と普通のサーバ市場ではまったく顧客層が根本的に違います。また、GPUの部分が小さければそれほど反対されないでしょうが、もしミドルロークラスの性能のダイサイズを入れるならば、コア増を要望されるかも知れません。

このため、いつ発売して顧客に反対されないかは現時点では不明です。とはいっても、CPU開発スパンが長い(2~4年程度)ため市場が出来たと判断しても遅くなります。ある程度時期を見積もって行うしかないのですが、早ければ市場で無駄扱いされ、遅ければシェアを取れません。2013年は早過ぎる気がしないでもないですが、いつ頃でしょうかね。けど、リスクと取らなければ、それ自体もリスクですし。難しい問題だと思います。

モバイル市場においては、2013年に3W(Temash)、2014年に2Wと非常に低消費電力のCPUのロードマップが公開されました。現在のメディアタブレットの興隆を見ているとこの分野に進出するのは必須だと思います。28nmでの製造とTrinityなどに採用されている技術等を使って低消費電力を実現するのでしょうかね?

通常のPCに関してはなぜかモバイルしか発表されずデスクトップPC向けのCPUであるVisheraの後継は発表されませんでした。このあたりは、もうPCはノート中心だし、APUであるKaveriでカバーするからいらないのでしょうか。開発リソースと将来性を考えればしかないことなのかも知れません。まぁ、サーバCPUをそのまま持ってくればいいので名前を挙げるほどではなかったのかも知れません。

けど、Piledriverの次のアーキテクチャであるSteamrollerはシングルスレッドの高速化は果たさずコア数など増やしてスループット向上をメインらしいので、PC市場ではあまり意味がないかも知れません。これ以上コア数は増やしてももてあましていますしね。

CPUは周波数やシングルスレッドを向上させることができなくなり、マルチコア化にシフトしました。マルチコアによってプログラマーのフリーランチは終わったと言われましたが、マルチスレッド対応程度ならばぎりぎりフリーランチかなと思わなくもないです。

ですが、GPGPUは完全にフリーランチ終了の宣言されていると思います。GPGPUが普及してほしいですが(現時点ではそれ以外でCPUの性能アップは見込めない)、Microsoftや開発環境がもっと簡単である必要性があります。うまくHSAは立ち上がるか分かりませんが、なんとか立ち上がって欲しいところです。いやWebCLとか一般化しないものでしょうかね。

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