Gartnerの2011年PC出荷台数予測がさらに下方修正
Gartnerが2011/2012年のPC出荷台数予測がまた下方修正を発表しました("Gartner Says PC Shipments to Slow to 3.8 Percent Growth in 2011; Units to Increase 10.9 Percent in 2012")。
Gartnerが2011/2012年のPC出荷台数予測は以下のように推移しています(注:決してGartnerの予測が間違っているとかいいたいわけではなく、PC出荷台数が少なくなる方向に予測される状況を意味しているだけです)。数字は億台です。
発表時期 | 2011年PC出荷 台数予測 |
2012年PC出荷 台数予測 |
2010.11 | 4.09 | 4.57 |
2011.3 | 3.88 | 4.41 |
2011.6 | 3.85 | 4.41 |
2011.9 | 3.64 | 4.04 |
下方修正され続けています。Windows 8が2012年に出荷される影響があるため、2012年の予想はまた難しいものになっていると思われます。
1H'11のPC出荷台数は1.69億台です。2H'11が例年通りならば3.65億台(PC出荷台数(2Q'11)~順位の大幅変動~http://blogs.itmedia.co.jp/kichi/2011/07/pc2q11-388b.html)と予想していましたが、Gartnerの予想とほぼ一緒になってしまいました。過去のデータを元に予想したので、そんなものですよね。
ですが、私は今のところこれよりも悪い結果の方向に向かうのではないかと思えてなります。経済が悪い方向に向かっていることとメディアタブレットの種類が増えていることです。前者の影響は本当に悪い結果がでるかも知れません。後者は訴訟合戦がひどいためPCの出荷台数に影響を与えない可能性もありますが、状況次第でしょう。Ultrabookは価格が安ければ出荷台数の伸びに寄与するかも知れませんが、タイミング的に2011年にはあまり寄与しないと思われます。
Gartnerが今のところ予想している年間出荷台数(PC、スマートフォン、メディアタブレット)をグラフ化してみました。
2011年から2012年の成長率は10%とあります。PCは概ね年間10%前後の成長を維持してきました。2001~2010年までの年間平均成長率は10.0%です。これは2008~2009年の不況や2001年のネットバブルもカウントされます。このため、経済的なブレーキがなければ、10%を超えることは普通でした(過去形なのは、将来は10%は相当大きな数字になっていると思うためです)。
また、2008~2009年の不況時でもタイミングが良かったせいか(4Q'08~2Q'09)、実は年間成長率は6%以上でした。ですが、2011年の3%は過去10年(2002年以降)で最も悪い数字になります。
このため、数字的にはPCは状況はいいとは言えません。2012年はWindows 8の登場でx86以外のARM版もでます。予想ですが相当安価なタイプが出てくるでしょう。また、これらはPCの部類には入ると思われます(私はメディアタブレットもPCの部類に入ると予想しましたが、Gartner等の調査会社はカウントしませんでした。ARM版WindowsはOSがほとんどフルバージョンが入れば、調査会社もPCとカウントすると思われますが、実際のところは分かりません)。
このため2012年はPCの出荷台数は回復する(10%以上)と思いますが、その時点でメディアタブレットの出荷台数が予想を上回る状況ならば違ったシナリオが発動している可能性があります。ユーザがARM版Windowsでなくてもよくね?と思えるエコシステムがAndroidやiOSで構築されていれば、PCの廉価カテゴリは存在しなくなっているかも知れません。