部長がやらなくてはならない7つの仕事と能力~意思決定の伝承が文化を作る
「うちの部長は会議して部の売上げを経営陣に報告しているだけで、会社の業績に全然貢献していない」という声を社員から聞くことが多い。 また、「あなたの会社の部長の仕事は何?」と質問して理路整然と説明できる部長や人事担当者は、実は非常に少ない。実際に部長と話をしても明確でない場合が多いようだ。
部長は社員や経営者層から見えないところで非常に大きな役割を果たしている。
部長の仕事(与えられているミッションによって異なるが)を知ることで、部下の上司への理解が深まり、部下と部長の間のコミュニケーションが良くなり、部長になるために自分がどのようなノウハウを習得しなくてはならないかもわかるだろう。
<一般的な部長(マネージャー)の仕事とは?>
部長は、マネジメントのスペシャリストであり、会社の経営を担う最小単位である。 したがって、会社によって事業部長であったり課長だったりする場合があるが、その場合、彼らもここでいうところの部長となる。
さて、部長のお仕事だが、一般に以下の7つだと言われている。
1.部のビジョン、方針の策定
2.部に関する現場レベルの意思決定
3.自分(部長)および経営者の意思(決定内容)を社員に伝達
4.現場の状況を経営者層に伝達
5.他部門、経営者層との不完全なプロセスや様々なギャップの補完と調整
6.社員の行動、モチベーション、育成の管理
7.職場、チームワーク、業務遂行環境の維持・改善
<部長に必要な7つの能力 D+6C>
また、部長に必要な能力はD+6Cと言われる。
・デシジョン・メイキング
・コミュニケーション
・コリジョンコントロール&コーディネーション
・コーチング
・キャスティング
・コンプライアンス&インテグリティマネジメント
・クリティカル・シンキング
<意思決定と文化>
最近、様々なリーダーシップ本が出ているが、それらは6、7にフォーカスしているものが多く、確かにそれは正しいしのだが、経営の最小単位としてみた場合、部長に最低限求められるのが、現場での意思決定力だ。
意思決定と言うと大げさであるが、部下の「このように対応したいのですが」「来期は、この分野にフォーカスしたい」「これを商品企画会議にあげたい」「こんな改善を行いたい」などの日々発生する様々な意思決定を部長は行い、その判断に対して責任を持っている。
意思決定の判断基準は様々で、お客様にとって、部の今年の売上として、社会的責任、会社全体の長期戦略として、チームワークを維持するために、その社員の成長とキャリアパスとして、現場の意見が経営に反映させるカルチャー維持のために、など様々な視点で判断をしなくてはならず、部長の意思決定は目立たないが会社にとっては非常に重要な機能だ。
間違えれば、その期の業績が悪化するだけでなく、リスクテイクしてチャレンジする文化が失われたり、社員が次々と辞めていったり、気がつかないうちに食品の偽造問題や不正取引、不正な接待、脱税などに見られるような、本人の意図していなくても大きな問題になることになる。
<部長の判断基準の伝承が文化を創る>
意思決定は通常、現場で様々な経験をし、社員に与えられている権限の範囲で意思決定したり、上長に相談する中で培われていく。 この意思決定の繰り返しが企業、部門の文化となり伝承されていく。
ヘッドハンティングやマネージャークラスのリクルート時に「カルチャーフィッテング」が重要視されるのはこのためだ。
より堅実に信頼性重視の意思決定を求める企業や新しいアイディアを積極的に吸い上げて素早く決断して実施することを求める企業などがあるが、これが合わないとどんなに能力があるマネージャーでも成功できない。 ちなみに、ここで言うカルチャーフィッテイングとは、その会社の現在のカルチャーに合うかどうかの視点と、新しく作り出そうとしているカルチャーに合っているかどうかの二つがある。
<最後に>
部長を目指すスペシャリストは、まず、現在の業務の中で、様々なチャレンジを行い、会社の方針と自分の信念の二つの視点で意思決定を行いながら、マネージャとしての意思決定能力を養うべきだろう。
転職する際も、自分の判断基準が転職候補の会社の判断基準とあっているかが重要な選択基準となるはずだ。
初めてマネージャーになった方や、マネージャーとして転職予定の方、そして、マネージャを目指してノウハウを蓄積したい方のお役に立てれば幸いだ。
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