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社員の時に見ていた店の状況、オーナーになってから見ている店。見ている方角が違うとこんなにも違うコンビニの光と影。お客様とは何にも関係無いところで巻き起こるあれやこれ。(笑

良い接客の受け方

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 良い接客を受けたいと思っている人は大勢いるだろう。良い接客とはどんなものか?
 筆者が考える満足する接客とは、読んで字の如くお客様に接しているかどうかです。接している面積が大きいほど良い接客と言えるでしょう。

 では、接するとはどういうことなのか?
 前回紹介したスカイマーク・サービスコンセプトの中から一つを例に考えてみよう。

2,お客様に対しては従来の航空会社の客室乗務員のような丁寧な言葉使いを当社客室乗務員に義務付けておりません。客室乗務員の裁量に任せております。(以下略)
 言葉使いというものは非常に難しい。いや、日本語が難しい。

 だいぶ前に話題にもなった「ご注文は◯◯でよろしかったでしょうか」
 ずいぶんと叩かれた言葉使いだが、筆者は「別にいいじゃん」程度にしか考えていない。そればかりか「注文これでいいっすかぁ」でも構わないと思っている。(もちろんそんなことは当店では言ってないし、他のあらゆる接客場面で見たことも聞いたこともないが)

 言葉使いよりも優先すべきは、お客様の求めているものを提供できたかどうかである。

 もちろんそれが言葉使いの場合もあるが、前回も書いたように、コンビニや低価格航空に求めているのは言葉使いですか?もうそんな細かいこと気にするのはヤメませんかと、いうのが今回の提案である。

 ここでザ・リッツ・カールトンのお客様向け文章をご覧下さい。
 ゴールドスタンダードと名付けられた、いわゆる理念・方針にはこんな文章がある。

◯モットー
ザ・リッツ・カールトン ホテル カンパニー L.L.C. では「紳士淑女をおもてなしする私たちもまた紳士淑女です」をモットーとしています。この言葉には、すべてのスタッフが常に最高レベルのサービスを提供するという当ホテルの姿勢が表れています。
 「紳士淑女をおもてなしする私たちもまた紳士淑女です」これは、リッツ・カールトンの従業員が紳士淑女のようなサービスを提供するという意味と、「お客様と対等」の立場であるということを意味するのだと、筆者は解釈している。だから、前回記したように、初めて宿泊する時には書面にサインまでさせるのだと。
※この「お客様と対等」というのは、日本的接客からは理解に苦しむ表現である。友達と言うことではない。かと言って下僕でもない。良きパートナーと言った方が分かりやすいのかもしれない。

 筆者が宿泊初日、ホテル内で食事をとった時の話だ。一人で宿泊した筆者には、当然食事中のおしゃべり相手はいない。すると、手の空いている従業員が話しかけてくるではないか。新鮮な経験だった。
 初めて大阪に来た筆者は「大阪って改札出たら、TVでよく見る大阪弁だらけなのかと思ったよ」と言ったら、大阪出身だという従業員が横から来て、「◯◯の方に行けば聞けますよ」と、流暢な大阪弁で答えてくれた。それ以降、彼は大阪弁で話しかけてくるのだ。大阪弁を聞きに大阪に来たわけではないのだが、今思えば、わざと大阪弁で話してくれたのだろう。
 入れ替わり立ち代わり、時には数名一緒に色々なおしゃべりをしながら、楽しい食事をした。
 そのおしゃべりの言葉使いは丁寧ではあったが、へりくだった言葉使いではない。そうオフ会で初めてあった人と話すような感じだ。それが、彼らのおもてなしなのだ。(もちろんしゃべりたくない雰囲気を出せば、しゃべりかけては来ない。ある午前中、開店準備の事務仕事をしていた時は、「何かお手伝いすることがありましたらお声がけください」と言って静かに去っていくこともあった)

 大阪弁というキーワードで、お客との接地面積を拡げたのだ。おしゃべりと美味しい食事、そこには言葉使いなど関係ない。

 皆さんも思い浮かべてください。多くの接客満足を味わった要因は、決して言葉使いなどではなかったと思います。それどころか、ラフな言葉使いで対応された時の方が満足度は上がってませんか?

 敬語はよそよそしい対応を誘発します。
 
 現在は、従業員がお客様に切り込む手立てを持っていないことが大きな要因だが、お客様にも問題はある。
 お客様は神様で店員は、人間的にも下であるかのような接し方をする一部お客さんがいることだ。店員を奴隷か召使いのように思っているのだろう。それらに対応するため、無意味な障壁を作らざるを得ないのだ。残念で仕方がない。

 筆者の体験からも、店員とはフランクに接した方が良い接客を受けられる。現在日本では、店員の方が縮こまってしまっているが、お客側からその障壁を取り去った方が、満足な接客を受けられるだろう。是非お試し下さい。

 最後に、前回の一部答えである。筆者は接客にはコストがかかると言った。その通りなのだが、対お客様との接し方が変われば、コストのかけ方に変化が生まれる。お客様の接客満足を上げるにはコストは要らないのだ。一定の条件が揃えば。
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