デジタルネイティブと保護者 〜『iPad教育活用7つの秘訣―先駆者に聞く教育現場での実践とアプリ選びのコツ』より〜
教育現場のiPad活用
デジタル教科書に関する議論やタブレットを活用した実践授業のニュースをよく目にするようになって来ました。先日から日本マイクロソフトとレノボ・ジャパンと東京都港区立青山小学校が連携してWindows 8タブレットPCを活用した授業で学習効果を検証する取り組みが始まったようです。
Windwos 8タブレットを教室で活用 都内の小学校、MSとレノボが支援 - ITmedia エンタープライズ (2013年02月21日 19時12分 更新)via kwout
『iPad教育活用7つの秘訣―先駆者に聞く教育現場での実践とアプリ選びのコツ』より
そこで2013年3月に出版された『iPad教育活用7つの秘訣―先駆者に聞く教育現場での実践とアプリ選びのコツ』を参考に、学校で教員や児童・生徒がどのようにタブレットを利用しているのか確認しました。
「iPadの教育現場での活用」というテーマはとても大きなテーマです。そのため、当ブログで数回に分けて紹介します。今回の記事は前掲書を題材に「デジタルネイティブ」という視点で記事にします。次回以降に各先生たちの「教育現場での工夫」に注目してiPad活用事例をご紹介する予定です。
用語について:教育の世界では小学生は「児童」、中・高校生は「生徒」と表現を使い分けていると現場の先生から伺いました。そのため拙稿でも小学生は「児童」、中・高校生は「生徒」と表現を変えるようにしたいと考えています。筆者は携帯電話を漢字で「携帯」と表記してきましたが、前掲書に倣い今回はケータイと表記します。
山本恭輔さんの「教育現場iPad活用ガイド〜導入事例紹介〜」
この本の興味深い所は、実際に学校の授業でiPadやアプリを活用している教員とデジタルネイティブ(中学生)、大学生に聞き取りをしている点です。
特にいいなと思ったのは少年の主張全国大会で総理大臣賞を受賞した中学生・山本恭輔くんの対談に加えて、お母様も手記を掲載していることでした。
山本くんは2011年から「教育とICT」というテーマで研究調査を行なっている中学生。デジタルネイティブな世代であり、iPadを利用してポスターセッション等で発表されているそうです。
前掲書によるとこの本を企画した小池先生にfacebookで取材を申し込んだり、「教育現場iPad活用ガイド〜導入事例紹介〜」を電子書籍化したりされたそうです。
Googleで検索して調べた所、iPadZine(アイパッドジン)で山本くんの電子書籍(iBooks)が公開されていました。2013年4月14日 21:07現在で2121ダウンロードでした。
参考:教育現場 iPad活用ガイド|iPadZine
http://www.ipad-zine.com/b/1581/
Twitterやfacebook等での評判が高いので、私もダウンロードしました。私の場合はiPadのiBooksで読みました。iPad横向き表示(見開き2ページ)でインタビューを読むことが出来ました。
参考:iPadZineが推奨しているアプリ (iPad版)
GoodReader for iPad 3.19.4(¥450)
カテゴリ: 仕事効率化, ビジネス
販売元: Good.iWare Ltd. - Yuri Selukoff(サイズ: 33.2 MB)
全てのバージョンの評価: (6,998件の評価)
i文庫HD 3.0.1(¥800)
カテゴリ: ブック, ユーティリティ
販売元: nagisa - yasuyuki asada(サイズ: 22.1 MB)
全てのバージョンの評価: (2,621件の評価)
山本くんの電子書籍のきもは最終章。iPadを実践して活動している先生などに会いに行ってインタビューしてわかったこと、山本くんの見解・未来への想いで締めくくられています。
この最終章が前掲書の神谷さん(主婦ブロガー、前掲書ライター)との対談に登場する以下の言葉とつながっているような気持ちがしました。
山本 僕たち中学生にとって、iPadみたいなデバイスって、すでに身近で当たり前のものになっているんです。だからデジタルとかアナログという区別すらなくて、もっと柔軟に使えるところで使えればいいのかなって。世の中がこれだけIT化しているんだから、その波に教育も乗っかるのが自然のような気がします。
※前掲書 40ページより引用
デジタルネイティブと保護者
そして山本くんのお母様・山本淳子さんはケータイやパソコンを使い方を息子にどうやって教えたのか手記で回答されています。
【手記の主な項目】
- はじめてケータイをもたせた時期
- ケータイをもたせるにあたって不安だったこと
- ケータイやパソコンを使う時のルールはどうしたのか
- お子さんがデジタル機器を使いこなすようになってから思ったこと
- 同じようにデジタルネイティブなお子さんを持つお母様へのメッセージ
保護者が子どもにケータイを持たせる前に考えないといけない課題がいくつもあります。
山本さんが「保護者」として実体験を書かれ、息子さんが「生徒」の立場からケータイ・パソコンにどう向き合っているのかを答えています。親と子の双方の立場からお互いの感じ方、意見がわかる点が参考になります。
デジタルネイティブのお子さんにケータイ・パソコン・ウェブの使い方をどう教えればよいのかわからないで困られている保護者から相談を受ける事があります。そのような保護者には山本くんの座談会でのトークやお母様の手記は役立つものになるのではないでしょうか。
デジタルネイティブが選んだアプリ
そして前掲書には山本くんのオススメアプリが7つ掲載されています。
- 録音アプリ、
- 動画編集、
- マインドマップ作成アプリ、
- ノートアプリ
7個中5個のアプリはプレゼンや授業に役立つアプリ。生徒として授業を受ける際に役立つコンテンツでした。そして私が驚いてしまうアプリも2つ掲載されていました。驚いた理由は前掲書の小学校編に登場する片山敏郎先生とたまたま同じアプリがあった点。そして生徒である山本くんがセレクトした事が意外だったからです。
>>「ICTで学びを保証する ~ 『iPad教育活用7つの秘訣―先駆者に聞く教育現場での実践とアプリ選びのコツ』より~」に続く
お詫び:当ブログでは前掲書に登場したアプリ名は伏せさせていただきます。前掲書をご参照下さい。よろしくお願いいたします。
参考文献
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- ICTで学びを保証する ~ 『iPad教育活用7つの秘訣―先駆者に聞く教育現場での実践とアプリ選びのコツ』より~
- デジタル教科書・教材のあるべき姿を議論する ~デジ教研Open Meeting08 in Kyoto ~みんなで、デジタル教科書の資料を読み込もう!より~
- "教育現場"でのiPad活用事例(小学校~大学) 〜『iPad教育活用7つの秘訣』より〜
編集履歴:2013.5.30 0:12見出しを追加しました。(山本恭輔さんの「教育現場iPad活用ガイド〜導入事例紹介〜」)2013.5.31 23:40 「デジタルネイティブのお子さんにケータイ・パソコン・ウェブの使い方をどう教えればよいのか」の段落を見出し「デジタルネイティブが選んだアプリ」の前に移動しました。