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グローバル化する中で日本人はどのようにサバイバルすればよいのか。子ども×ICT教育×発達心理をキーワードに考えます。

Facebook就活を一回は経験すると将来にプラスですよ、言いたくなった理由とは

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「Twitterはバカ発見器」からはじまって

「Twitterはバカ発見器」という言葉を、2011年頃からよく見かけるようになりました。そして、一般の人が内輪だけのつもりで、ソーシャルネットワークに「万引きなう」「他人を侮辱する内容の写真を隠し撮りして投稿」など、問題がある類のツイートをしてしまい、大事(おおごと)になる様子をよく見かけるようになりました。

反社会的と受け止められていまうツイートは、学生だけでなく大人もしてしまうようです。実名がウェブ上に履歴として残っているので詳細は書かないようにしますが、

  1. 社会的に問題があるツイートをして炎上、
  2. 実名などがウェブに公表、
  3. 大ごとに......

という事例をいくつか見かけました。

内輪のつもりが丸見えに......

Facebookでも反社会的な写真を投稿され、シェアで拡散ということがあったようだ、と後日に知りました。私はオリジナル写真や投稿を拝見していませんが、投稿内容を紹介する情報が届きました。事実かどうかはオリジナルを拝見しないと判断できません。が、情報が事実ならば大問題だと思う体験がありました。

FacebookはTwitterと違って内向きなSNSと思っている方もいらっしゃると思います。しかし、プライベート設定をほったらかしにしていたり、投稿内容を外部に転載する人がいたりした場合は、パブリックな情報になってしまいます。

リアルな世界では口にしないことをソーシャルネットワーク上で口にしてしまい、人生にとって重大なことになってしまう例が続々と起こっているようです。どのようにすれば、このような連鎖をなくすことができるのでしょうか? そんな時にある本と記事に出逢いました。

Facebook就活って人生に一回は経験したほうがいいと思った理由

一ヶ月ほど前にITmediaオルタナティブ・ブログで興味深い記事を読みました。

学生の小俣さんが執筆された

  1. Facebook就活(だけの就活)なんて僕はしていない
  2. 「人事の方と直接コンタクトが取れる」という謳い文句
  3. コネクションやネットワークの熟成には時間がかかる
  4. 最後に就活生に向けて

の四本柱の記事です。

参考:Facebook就活はおすすめできない(できなくなってきた):Office WADE:ITmedia オルタナティブ・ブログ

小俣さんがとても大事なことをラストに書いてあるなと思いましたので、少し長めですが引用します。

4.最後に就活生に向けて

メディアに振り回されている方々に一つ、お伝えします。
Facebook活用を推奨する特集を出す記者やライター、編集の方の中には、
自分がFacebookを使ったことがない人が一定数います。

僕自身、少しショックでしたが、事実です。
どうかメディアに振り回される事のないように。

私はFacebookページを使ってソーシャルリクルーティングを成功させたと言われますが、
もう同じ手法は絶対に通用しません。

あくまでツールです。
それも皆、平等に利用できるツールです。

銃を選んでばかりで射撃を練習しないのでは意味がありませんよね。

どうか、本質的な部分を忘れず、使える範囲で使ってみてください。
http://blogs.itmedia.co.jp/goooooki/2012/01/facebook-b98f.html より引用

Facebook就活がオススメできなくなってきた

私がよく見るTVニュースでは、盛んにFacebook就活を紹介し、学生がFacebookに登録して、情報交換や応募する様子をしばしば報道していました。

"Facebook就活すれば内定を取れる"と思っている人が多いようだと感じていました。ですが、小俣さんの「どうか、本質的な部分を忘れず、使える範囲で使ってみてください。」という箇所など記事に共感したので、小俣さんを取材したFacebook就活の本を読みました。

参考:高橋暁子『Facebookで就活に成功する本-ソーシャルメディアを活用して希望の会社に入る法

『Facebookで就活に成功する本』

『Facebookで就活に成功する本』では

  • 現在の就職活動の状況
  • 学生が就活をする際に、どのようにFacebookやTwitterを利用すればよいのか、
  • ソーシャルネットワークを利用する際に、気をつけたほうがよい点
  • 企業・学生に聞く、ソーシャルネットワーク就活の現状
  • ソーシャルネットワーク就活に取り組んでいる企業の一覧など付録データ

等が掲載されていました。

高橋さんの本を拝読して、学生にFacebook就活を体験してもらった方が良いなと考えを変えました。

学生が自分が損しないために、ウェブリテラシーに気をつけようと気持ちを引き締める気持ちになるのではないか、と私見では思えたからです。

Microsoft社の調査によると、米国企業の人事担当者の実に79%がが応募者のオンライン情報をチェックしたことがあると回答しているのです。(中 略)さらに注目すべき点は、素行の悪い写真や人柄が疑われる書き込みなどにより、不採用になるという事があるということです。
前掲書 P,49より引用

上記の内容は、私にとっては「そりゃあ、そうだろう」と思っていることです。が、生徒さんや保護者の中には「えっ? 」という反応をされる方がいらっしゃいます。

ウェブで自分の事を検索されると自覚していない人が、例えば「未成年だけど友だちと喫煙/飲酒した」など、人事の人に見られては困ることを、普通に武勇伝風に投稿してしまっていたことがあるようです。

武勇伝のつもりが......

内輪だけのつもりで、ちょい悪なつもり、武勇伝のつもりで公に見られては困ることをウェブに投稿。後日あわてて投稿を削除したけれども、第三者がウェブ魚拓を撮っていたり、togetterでまとめページを作られていたので、"ウェブから情報を消せない"ということが起こっています。

匿名でも多くの人は馴染みのあるメールアドレスやハンドルネームを使う傾向にあるため、ある程度の技術・知識があれば、個人を特定することはそれほど難しいことではありません。たとえ匿名でも、ネット上で問題がある発言や振る舞いなどはしないようにすべきだと海外の事例から学ぶことができます。
前掲書 P,49~50より引用

「つい、うっかり」だけでなく、「匿名だから素性はばれない。大丈夫」と思って、問題があるとわかりながら、炎上ツイートをしてしまう人も一定数いらっしゃるようです。

しかし、匿名でツイートしたけど、Facebookでも同じハンドルネームでURLを設定していたので素性がバレた、例もあります。

炎上も怖いのだが......

素性がばれないと油断してしまうと、リアル世界で口には出して言えないこともツイートできてしまうのが恐ろしいところです。

匿名でもハンドルネームでも、自分のツイート/投稿が炎上すれば、素性を暴く職人のような人が個人情報をウェブに載せる、と思って利用することをオススメいたします。

加えて興味深いのは、名前を検索しても"何も出てこない"のも問題視されるという点です。(中略)そうした状況を踏まえ、理想的なのは、ネット上と リアルの世界での言動を変えないことです。ネット上の発言や振る舞いに責任を持ち、常識的な振る舞いをしていれば、ネット上での行いが原因で不採用になる ということはまずありえないでしょう。
前掲書 P,49~50より引用

個人情報漏洩が嫌なので匿名でしかウェブを利用していない学生も多い様子なのです。が、実名で検索して情報が出ないと、せっかくソーシャルネットワークを豊富に利用していても、「ウェブを使いこなせていない人」「リテラシーが低い人」と思われかねません。

リアル世界で通用する常識的な内容を書く分には、実名で投稿してもトラブルにはなりません。

不要意な発言を個人が特定できる形でウェブに投稿してしまった場合は、実名での投稿にリスクが生じると考えられます。個人情報を不要にウェブに公開しすぎていないかは気をつけたほうが良い点だと考えています。

Facebookなどソーシャルネットワークを利用して就活しようと思っている場合は、内定を得ることが目的です。したがって、人事の人や就活の仲間、第三者から自分の人間性を疑われるような投稿は避ける可能性が高いのではないでしょうか。

そう考えると、Facebookなどソーシャルネットワークは、学生のウェブリテラシーを向上させるよいチャンス・場ではないかと考えています。

SNSの投稿でリアルな世界での能力もバレる?

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ソーシャルネットワークの投稿を見ることで、"リアルな世界でのコミュニケーション能力がどの程度なのか"を推し量ることも、人事の人ならば可能でしょう。

エッジを効かせた内容をウェブに投稿したい場合は、

  • 他人が読むことを想定し、
  • 第三者の誰かを話題にした場合は、本人が見ることも想定して書く、

心配りをする訓練になりえます。

本人が見て問題があるものだった場合は、リアル世界と同様にウェブには書く必要がない。むしろ書かないほうがいい内容と考えられます。

ウェブでの投稿も、リアル世界でのコミュニケーションスキルと連携してしているもの、と考えられます。なので、双方ともに体験を積み重ねたほうがいいと認識しています。

私見ですがリアル世界とウェブの世界はつながっていて、別なものではない、と思ったほうが良いのではないでしょうか。

ウェブ・リテラシー

学生のうちからFacebook就活を体験しておくと、リアル世界での能力と連携させながら、メディアリテラシーを向上させることができるのではないか、と考えました。

というのは、就活をする時にわざわざ炎上するような話題は投稿しないでしょうし、自分の魅力を人事の人に伝えるためにソーシャルネットワークをどう活用すれば良いのか、考える契機になるからです。

Facebook就活をすることにより、

  • プライベートで発言して良いこと、
  • 人前で発言しても良いことを気をつけて投稿するように考えてから、

ツイート/ウェブに投稿される学生が増えるのではないではないか、と仮説を立てています。

私は学生にウェブリテラシーを身につけていただくために、Facebook就活をオススメしたら良いかもしれない、と考えました。加えて、既に大人の人も一度は経験したほうがいいのではないか、と感じています。

学生をされている20代以下の世代は、子供の時からパソコンやインターネットの世界にふれています。

今、採用する立場の大人の世代は、社会人になってからパソコンやインターネットに触れるようになった方が多くいらっしゃいます。

大半の人はウェブ歴10年以下

"ナナロク世代"という言葉があります。インターネット企業の創業者に"1976年生まれ"の人が多いため、生まれた言葉のようです。1976年生まれの人の中には,早生まれだったり浪人されたり,いろいろな状況の方がいらっしゃいます。

Windows 95が発売された1995年前後に高校を卒業されて、大学・専門学校等に入学した人が多い、と推察されます。一般にインターネット利用が普及したのは、1998年のWindows 98以降と推測されます。

なので、DOS、パソコン通信の時代からネットワークを利用していたヘビーユーザたちを除けば、一般の人の大半はウェブ利用歴15年以下ではないかと考えられます。

おわりに

大人の世代は、デジタルネイティブなわけではありません。大人であっても、子どもたちよりもウェブの経験年数が少ない方が一定数いらっしゃいます。

すでに大人の方も、ウェブリテラシー、リアル世界でのコミュニケーションスキルを向上させたい方は、Facebook就活(ソーシャルネットワーク全般も含めて)を一度は経験されるといいかもしれません。

>>「「就職活動を頑張っているのに内定が出ない」と自信をなくしたら」に続く

参考文献

高橋暁子『Facebookで就活に成功する本-ソーシャルメディアを活用して希望の会社に入る法

追記:2012.12.27 17:08 「Facebook就活を一回は経験すると将来にプラスですよ、言いたくなった理由とは」の後半部分「SNSの投稿でリアルな世界での能力もバレる?」として独立させました。2012.12.3 1:22 題名を「学生の皆さん、Facebook就活を一回は経験すると将来にプラスですよ、言いたくなった出来事とは」から「Facebook就活を一回は経験すると将来にプラスですよ、言いたくなった理由とは」に変えました。2012.12.27 16:27 見出しを大幅に追加しました。2015.4.17 16:06 「SNSの投稿でリアルな世界での能力もバレる?」として独立させた部分を、再統合しました。箇条書きや句読点を追加。本文から「無難な話題ではなく」現在の子どもたちと違って、」「学生にFacebook就活をしたほうがいいよと私見では思ってしまったのですが、私も一回は経験したほうがいいかもしれないと考えを改めました。」「ウェブでの炎上は昔からありましたが、」「とか」「ようにする」「などの」「こと」を削除。「ので、」→「なので、」、「を利用した」→「は、」、「なりそうだから」→「なるから」、「が」→「しかし」、、「なのですが、」→「ようです。」、「どうしたら」→「どのようにすれば」、「で」→「では」、「見かけていました」→「報道していました。」、「してしまい、」→「。」に修正。「そして、」「(おおごと)」、太字を追加。同日19:54 「理由は」「うっかり」「個人情報を」「の中」「おそらくですが」「すでに」「な人」を削除。""、「を」を追加。「不要な」→「不要意な発言を」、「うかつ」→「迂闊」、「を起業した人に」→「創業者」、「していたほうが迂闊なことを投稿しにくくなるのではないでしょうか?」→「することをオススメいたします。」に修正。

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