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摂食障害について教えてください -その道のプロ・砂羽美佳さんに伺いました-

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はじめに

前回、カウンセラーの砂羽美佳さんにIT業界に多い(印象を受ける)うつ病の方・ご家族へのへのケアについての中から「うつ病の方のご家族、周りの方はご本人に対してどんな対応をしたらよいのでしょうか。」を伺ってみました。
今回はその続きです。

質問:摂食障害の方のケアを始めようと思われたきっかけと「摂食障害」ってどんなものなのか教えてください。

片岡:「砂羽さんがカウンセラーとしてうつ病の方のケアに加えて、摂食障害のかたのケアもされていらっしゃいます。摂食障害の方のケアを始めようと思われたきっかけと摂食障害ってどんなものなのか教えてください。」

砂羽さん:
私が、摂食障害のかたのケアを始めようと思ったきっかけは、私自身が、摂食障害(拒食症)だったからです。 中学3年の頃に発病し、2度の入院を経験しました。今では、考えられないほどの健康体ですが(笑)身長156センチで、体重が25キロ近くになり、風邪ひとつでも引いたら、抵抗力がないので、死に至る可能性もなくはないと医者に脅かされたのを覚えています。

でも当時、私はそんな切羽詰った状況にあっても、自分のことを病気だとは、露とも思ってはいませんでした。この「自覚がない」というのは、摂食の症状のひとつなのですが、ただ少し、ダイエットが行き過ぎてしまっただけだと、思っていたのです。

ダイエットと摂食は、似ているようには見えるけれども決定的な違いがあります。
それは、 「摂食障害は、メッセージ性を持っている」こと。拒食症は、「食べない」のではなく、「食べたいのに食べられない」のです。 過食症は、「食べたい」のではなく、「食べたくないのに、食べずにいられない」んです。その行為の裏には、必ずなんらかのメッセージがある。

その異常な痩せや行動や、食欲ばかりが注目されてしまうけれども、摂食障害は、心の病気です。体重を元に戻したところで、心が置き去りになっていれば、決してこの病気は回復しません。私が、拒食症になったのは、母親からの愛情飢餓が原因でした。自分でもそうと気付かず、私は自分の骨身を削って、母親に振り向いてもらおうと必死だったのです。過食を経て、回復に至った今はおかげで母との関係も良好です。

・・・でももし、摂食になって、母との不確かな関係を一から再構築していなかったら今の私と母の関係はないし、今の、いいところも悪いところもひっくるめて、ありのままの自分を認められる、私自身も存在していないと思うのです。

それまでの偽りの自分、見せかけの自分、仮面をかぶった自分に限界が来て起きる心の暴動が、摂食障害だと考えています。裏を返して言えば、摂食は、本来の自分を取り戻すチャンスでもあると思うのです。そのことを、今現在摂食に苦しんでいる人、いつまでも、明けないように思われる闇の中で闘っている人たちに伝えたくて、カウンセリングを始めました。

>>次に続く

追記

今回、インタビューにお答えしてくださったのは砂羽美佳(サワミカ)さんです。NPO法人 フリースペースタンポポで摂食障害、閉じこもり、不登校、対人関係、家庭不和、育児の悩み、うつ、発達障害児と、その周りの家族の方などへのカウンセリングをされています。都内の小学校で、特別支援教育支援員もされています。

参考:NPO法人 フリースペースタンポポ

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編集履歴:2012.10.20 23:21 見出しと前の記事・次の記事へのを追加しました。2012.11.30 22:08 題名を「[その道のプロに伺ってみました] うつ病などのケアについて 砂羽美佳さん 第4回」から「摂食障害について教えてください -その道のプロ・砂羽美佳さんに伺いました-」に改めました。
2012.12.18 1:17 誤字を修正しました。「以上な痩せや行動や」→「異常な痩せや行動や」。

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