PaaSに求めるもの、それは「低価格」ではない。
アプリケーション・ベンダーはクラウド展開を考える時に、プラットフォームの選択に悩まされることが多いが、最終的にPaaSに求めるもの、それは「低価格」ではない。セキュリティや充実した付加サービスでもない。
【注意】ここで述べるPaaSは純粋な技術用語としてのPaaSではなく、一般的にSaaS展開のためのプラットフォームを指しているので厳密性に欠ける展開となるが、あえてご了承願いたい。
以前、Twitterでもさりげなくつぶやいたことがある。
『総研系の方が、SaaSのプラットフォームで大切なのはコストですかっていうので、「売ってくれること」と答えました。』
私はアプリケーション・ベンダーの立場で、1時間余り日本のPaaSの現状について総研系の方に話をした。現状の課題としては
○価格が高い。
海外勢に比べると割安感がない。SaaSベンダーにとっては売上の少ない立ち上げ時にインフラにコストをかけられない。
○データ連携基盤が貧弱である。
マーケットプレースを形成している国内のPaaSベンダーは、せっかく沢山のアプリケーションを用意し、豊富な品揃えをしているにも関わらず、サービス間のデータ連携ができていない。このマーケットプレースでCRMと会計を利用すると、サービス間のデータ連携は利用者が手動で行なう必要がある。利用者の立場からすると、せっかくSaaSを導入してもビジネスパフォーマンスは一向に改善されないし、こんなことでは生産性は上がらないという不満に繋がってしまう。
「ビジネスはひとつの会社のひとつのアプリケーションで完結するわけではありません。複数の会社のアプリケーションがビジネスチェーンを織り成して実現しています。」なのです。
この2点を申し上げたのだが、ただの愚痴かもしれない。本質的な課題は、時間の大半を費やした「クラウドマーケットの拡大には何が必要か」という点である。
PaaSは勿論プラットフォームなので、その機能提供が安価にできれば十分と考えるべきだが、我々アプリケーション・ベンダーは視点が異なる。富士通のPaaSに乗れば富士通系の販社が販売してくれるのではないか、NECのPaaSに乗ればNEC系の販社が販売してくれるのではないかという、「売ってくれること」に期待しているのである。amazonやGoogleのプラットフォームは素晴らしいが、彼らが販売してくれるという期待はしていない。それはそれで、純粋に機能が素晴らしい、価格が安いという評価で十分に検討に値する。
Salesforce周辺のサービスも顕著な伸びを示している。周辺サービスを提供しているベンダーが集まってコンソーシアムも形成されているが、コンソーシアムの活動目的もSalesforceと一緒に成長したい、Salesforceの営業に自社サービスも紹介してもらいたいという所にある。
下記のつぶやきは、そんな思いからです。
『商品を並べただけのマーケットプレースでは価値を感じませんwRT @yamazakia 売ってくれること=一緒にビジネスできること ですもんね。 RT @iwamotoy 総研系の方が、SaaSのプラットフォームで大切なのはコストですかっていうので、「売ってくれること」と答えました。』
実際、SaaSを集めただけのサイトが沢山ありますが、利用者のビジネスパフォーマンスを向上できているのか不安が過ぎります。
でも、PaaS選択の最終決定は、「対応してくれた営業さんが信じられるか、気に入ったか」です。