オルタナティブ・ブログ > ITソリューション塾 >

最新ITトレンドとビジネス戦略をわかりやすくお伝えします!

新規事業開発は「できないこと」を洗い出し、それを解決する取り組み

»

「議論するたびに、どこから手を付ければいいのか、どのような仕組みにすればいいのか、行き詰まってしまいます。たぶん、どのような技術が今後の主流になるのか、よく分かっていないからだと思うのですが、アドバイスを頂けませんか?」

新規事業開発をされている方から、そんなご相談を頂きました。そして、何をされようとしているのか、どこに行き詰まっているのかを詳しく話しを伺いました。

photodune-3579627-confusion-xs-212x300.jpg

「どうでしょうか?何かご意見をいだけないでしょうか?」

話を伺いながら、一番大切な説明が抜けているなぁと感じ、次のような質問をしました。

「何のための新規事業なんでしょうか?」

相手はキョトンとした顔で、押し黙ってしまいました。

「こんなこともやりたい、あんなこともやりたい、それには、こんな技術が使えるのではないかというお話でしたが、いったいどのような課題を解決したいのでしょうか?このままではどうしようもないという課題があったからこそ、このプロジェクトがスタートしたのではないのでしょうか?そこがよく分かりません。それとも新規事業をやることそのものが目的なのでしょうか?」

プロジェクトの責任者は、私の質問の意図を理解いだけたようで、そのプロジェクトをはじめる前提となった問題意識や危機感を話してくださいました。

「いろいろと議論しているうちに、ならばこういうこともやった方がいいだろうと話しが膨らんでゆきました。また、こんなことをやってはどうかと事業部門に提案したら、それは内規があるのでできないとか、いろいろと言われてしまい、なにからどうすればいいのか、分からなくなってしまったんですよ。」

そして、次のように応えました。

「どうしても解決したい、そして誰もが認識している、一番大きな課題は何ですか。そして、それを解決するためには何をすべきなのでしょうか。このプロジェクトも、元々はそんな議論から始まったのではないでしょうか?」

その通りと言わんばかり、相手は頷きました。

「技術的に難しいとか、社内のルールでできないとか、制約を前提に議論を進めては、発想は拡がりませんし、最善の解決策は見出せません。みなさんも、そんな制約の足かせに引っ張られていたのではありませんか?」

まさにそのような状況だというのです。

「御社のお客様の年齢層は幅広いですよね。お話を伺うと、その人たちみんなが対象になっているように思います。また、将来の夢と直近の課題が、同じように扱われているように思います。まずは、万人のためではなく、課題を生みだしている中核層のお客様にターゲットを絞り、まずは彼らの課題を解決することに絞り込んではどうでしょう。そして、将来にわたり、全体の物語を描くことです。どうすれば解決できるか、あるいは、大義のためにはこのルールを変えなくてはならないも含め、"できないこと"を経営や事業部門に示し、いっしょになって解決の方法を探ってはどうでしょう。」

技術の発展が、これまでできなかったことを可能にしてくれます。各社がそれらを駆使して、いろいろなサービスをはじめ、注目もされるようになりました。ならば、自分たちも何とかしなければと、「何かをすること」が目的化してしまってはいないでしょうか?

技術を駆使することは、課題を解決するための手段です。では、その課題は何かです。まずは、様々な制約を廃し、何をすべきかを考えることです。できることから「さあ、何をしようか?」とは、決して考えないことです。課題を抱えている当事者は誰か、課題を解決するためには何をすべきかを徹底的に考え、「できないこと」を明確にすることです。その「できないことを」をできるようにするための取り組みが、必要だと言うことを忘れないようにしたいものです。

【最新版】最新のITトレンドとビジネス戦略【2016年9月版】

LIBRA_logo

*** 全て無償にて閲覧頂けます ***

最新版【2016年9月】をリリースいたしました。

今回は全資料について、ノートへの解説を追加しています。また、更新履歴が増えすぎたことで、ダウンロードボタンが押しにくいというご指摘をいだき、過去の履歴を別ファイルに集約して、すっきりさせました。

【インフラ&プラットフォーム編】(295ページ)

内容的に古くなったページを削除し、新たなページを追加、ノートの解説も増やしました。

【新規】「セキュリティが不安でパブリック・クラウドは使えない」は本当か? p.79
【新規】サーバー利用形態の歴史的変遷 p.160
【新規】SDIの求められる必然性 p.162
【新規】サーバー仮想化の3つのメリット p.188

【アプリケーション&サービス編】(256ページ)

人工知能関連のチャートを大幅に追加、解説(文章)付きスライドも増やしています。内容の古いチャートは削除しました。

【新規】「自動化」から「自律化」への進化 p.139
【新規】人工知能・機械学習・ディープラーニングの関係 p.147
【新規】「記号処理」から「パターン認識」へ p.152-153
【更新】ディープラーニングの画像認識能力 p.160
【新規】シンギュラリティの意味 p.184-185
【新規】システム資産・運用の歴史的変遷 p.232
【新規】汎用目的技術 p.254
【新規】PC誕生の歴史 p.255

【ビジネス戦略編】(94ページ)

記載内容が古いチャートを削除し、解説文付きのチャートを増やしました。

【新規】デジタル・トランスフォーメーションの意味 p.4
【新規】テクノロジーが変える社会基盤 p.8
【新規】"uberlist"になるための実践ステップ p.12
【新規】バイモーダルITと人材のあり方 p.73
【新規】求められるスキルの転換 p.74

閲覧は無料です。ダウンロード頂く場合は会員登録(500円/月)が必要となります。まずは、どのような内容かご覧頂ければ幸いです。

「ポストSIビジネスのシナリオをどう描けば良いのか」

これまでと同じやり方では、収益を維持・拡大することは難しくなるでしょう。しかし、工夫次第では、SIを魅力的なビジネスに再生させることができます。

その戦略とシナリオを一冊の本にまとめました。

「システムインテグレーション再生の戦略」

si_saisei_w400

  • 歴史的事実や数字的裏付けに基づき現状を整理し、その具体的な対策を示すこと。
  • 身の丈に合った事例を紹介し、具体的なビジネスのイメージを描きやすくすること。
  • 新規事業を立ち上げるための課題や成功させるための実践的なノウハウを解説すること。

また、本書に掲載している全60枚の図表は、ロイヤリティ・フリーのパワーポイントでダウンロードできます。経営会議や企画書の資料として、ご使用下さい。

こんな方に読んでいただきたい内容です。

SIビジネスに関わる方々で、

  • 経営者や管理者、事業責任者
  • 新規事業開発の責任者や担当者
  • お客様に新たな提案を仕掛けようとしている営業
  • 人材育成の責任者や担当者
  • 新しいビジネスのマーケティングやプロモーション関係者
  • プロジェクトのリーダーやマネージャー
Comment(0)