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ユーザにとっての使い勝手のよいITについて考える

ソフトウェアの工業製品化

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最近、ものが売れないという話が続いています。自動車、衣料品をはじめ、数字だけを見ると本当に大変な景気なんだと思うこのごろです。経営者の話で、「今の世の中、何が欲しいと言われても、すぐに出てこないことが多い、欲しいものは既に持っているものばかり」という時代との記事を見ました。確かに私自身を振り返っても、欲しいものは基本的に既に持っているものばかりです。車にしろ、テレビにしろ、服にしてもそうなので、結局、財布の紐を固く締めてもそんなに生活が困ることはないということなんだと思います。

前置きが長くなってしまいましたが、ソフトウェアに関しても同じような時代になりつつあるのではないかと思います。会計・給与・販売管理などの基幹システムについては、既に揃っていて、特に欲しいものもない。新しく戦略的にITを使おうにも、無くても特に経営が困るほどでもない。というところです。

特にITについては、投資対効果が見えにくいのも、新規投資の意欲を削ぐ理由になるのではないでしょうか。このシステムを入れたから、何%業務が効率化した、人件費が削減できた、売上が伸びたという計測ができればいいのかもしれません。

ただ、最近ふと思うと、他の品目の比較してまだまだ魅力的な商材を提供できていないのではないかと思うことがあります。たとえば、自動車にしても、より魅力的な、個々の志向に合うものを提供する努力があります。年齢層や生活パターン、趣味などによるラインナップの多様化、豊富なオプション、カラーバリエーション。多品種化して、細分化されたニーズをうまく汲み取ろうということになります。

自動車と比較するのは少々乱暴なのですが、お客様と話をしていると、企業の業務は非常に多岐に渡り、その業務フローも各社各様になっています。特に中小企業は業務改善を続けた結果、欧米企業のパッケージが合うほど単純ではありません。日本の市場は難しいという話もありますが、ソフトウェアにしても、もっと工業製品化できてもいいのではないかと思います。

すべてが特注の自動車ではなく、多種多様な要望に細かく対応でき、かつ価格も安価に提供できるようなシステムです。柔軟性の高いパッケージで多くのコンフィギュレーションメニューが用意されている。オプションも多岐にわたり、ニーズに応じて取捨選択できる。少々の追加費用が許されるのであれば、カスタマイズメニューで自社へのFit率を高めることができるような。

オブジェクト指向、コンポーネント技術、WEBサービス、など多くの試みもありますが、まだまだボディとフレームとタイヤを合わせるような話をしているような気がします。

工業製品化することで、超高機能なテレビもデジカメも数万円から手に入れることができます。誰も特注のテレビを買う人はいないでしょう。スクラッチ開発が悪ではないにしろ、ソフトウェアをもっと工業製品化していくことが新しいITの市場を作っていくのではないかと思います。

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