「力まない」という視点から、マーケティングと経営を斬ってみた
日本マーケ協会の月刊会員誌HORIZONの今年の3号で特集を担当した。テーマは「力まない」。コマンド&コントロールが目につく企業のマネジメントに対してのアンチテーゼというか、違和感+かつてからの持論もあって、いくつかの論をまとめてみた。
二か月前に発行したものでもあり、時期も経ったのでこちらに本文のPDFを。
主なコンテンツは以下の通り:
World Marketing Summit Japan 2015 + 力まない
コマンド&コントロールの時代は終わり、顧客を組織の中心に ──本荘 修二
TOP DISCUSSION
力まないマーケティングとは ── 江端 浩人、徳力 基彦、本荘 修二
FEATURE
お客を増やすことに力まない ── 池田 順一
刈り取り型から顧客育成型へ ── 宗像 淳
「力まない」覆面インタビュー ── 本荘 修二
最高のリーダーは何もしない !? ── 本荘 修二
Marketing View : これからの新しいリーダーの育成法
力まないミッションリーダーシップ理論に学ぶ、これからの新しいリーダーの育成法 ── 岩本 仁
BOOKS 『奇跡の経営』
巻頭のイントロを以下に:
2015 年は強引な経営の末路が目立った。それも、世界を代表する企業が。これは
ルールを破った行き過ぎた例もあるが、思うようにコントロールしようという過剰
な「力み」という意味では、ウチは違うと無視するよりも他山の石としてみた方がよ
いのではなかろうか。
昨年 10 月のワールド・マーケティング・サミット・ジャパン(WMSJ)でも、コマン
ド&コントロールの時代は終わり、ビジネスモデルや組織体制を根本的に作り直せ、
というメッセージが大勢を占めた。
現実には、変化する市場・現場に対応できず、コントロールもおぼつかずにコマン
ドだけしているマネジメントすらある。まさに「力む」ばかりで道を見失っているマ
ネジャーは少なくない。
もちろん、懸命さは大切であり、努力は不可欠だ。しかし、的外れなのに、そうと気
づかず無理に力んでも空回りするだけだ。野球でも、自分に合った、投球に対応した
バッティングが大切であり、理にかなったスイングもできないのに力んでも結果は
出ない。
ビジネスも然り。市場・顧客は変化しているのに、それを掴まずに走ろうとしても
前進しない。すぐ力むのでなく一歩引いて見つめ、柔らかさ・賢さで臨む時代となっ
ている。
この背景には三つの変化がある。
まず、影響力を増す顧客。サプライヤー側のパワーが低下を続けるのに、サプライ
ヤーロジックで売ろうとしてばかりではナンセンスだ。
次に、デジタル化。WSMJ ではフィリップ・コトラー教授が"Digitize or die(デジ
タル化するか死ぬか)"と言い放った。これは消費者がパワーを持ち、また変化するド
ライバーにもなっている。
そして、不確実性。連続性があり予測できる市場では、コマンド&コントロールで
結果を得やすい。しかし、不確実性に満ちた状況では、市場を理解し柔軟に対応する
ことが大切になる。
本特集では「力まない」という視点から、こうした課題を具体的に浮き彫りにし、解
決への方向性を探る。
簡単に言えば、市場の理解や顧客との対話に取組み、手を打つべしということにな
るかもしれないが、それだけでは具体的な策にはなかなか至らない。象徴的な事例か
ら革新的な経営論まで、ではどうすればいいのか?という疑問へのヒントを様々な
角度から示すことで、「力まない」マーケティングと経営への転換への問題提起をし
てみたい。
本誌編集委員 本荘修二
なお、上記のコンテンツの中では、マッキニーロジャーズ ジャパン代表取締役 アジア太平洋代表パートナー 岩本仁 氏のインタビュー記事が中でも刺激的なようで、読者からの反響もいただいた。
同社のホームページでの連載「英国軍に学ぶ組織変革」もどうぞです。「後ろから撃たれる上司」など興味深い記事が並んでます。
これまでのHORIZONでの小生の担当した特集ほかは、こちらをご覧ください。