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今のGoogleには、すでに総合的な技術力は無い...かもしれない。

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厳密に言うと、「今のGoogleには品質管理を含めた総合的な技術力が余り無い」ように思う...世界中の優秀な技術者を結集しているようなイメージ戦略をしているのにも関わらず、だ。gmailやgoogle mapを作ったGoogleは、どこかに行ってしまったんじゃないかと思う。

スマートフォンOSはここ数年で3つか4つ出た。iPhone,Android,WebOS,Windows Phone,MeeGoなどなどだ。正直言おう。Androidが最も出来が悪くて、最も使い勝手が悪いスマートフォンOSだ。たぶん、多くの人が同意すると思う。おそらくこれらのスマホの中で通話アプリが落ちることがあるのは、Androidだけだと思う。まぁ、Android社は元々googleではないと、いわれればそれまでだけど。

スマートフォンは問題だらけだ。セキュリティや、ウィルスや、電池の持たない、コンテンツの購買率が悪い、ソフト品質が悪い、などなどなどを言っているが、それはほとんど、スマホの問題ではなく、GoogleのAndroid-OSの問題なんじゃないかと思う。Windows PhoneやiOSやSymbianでは無い。

クラウド環境もここ数年いくつか出た。GoogleやAmazonやGMOやNiftyやさくらや、NTTなど、その他、たくさん出たが、Google App Engineが最もクセがあり、最も使い勝手が悪い。Paasでもクセがありすぎ。Paas使いたかったら今はHerokuかなぁ。スケールはするけれど、カネを取って長期に運用するサービスでは不安が払拭できないケースも多い。最近はSQLをきちんとサポートし始めたので、よくなったが、どっちにしてもクセがあり過ぎて誰にも引き継げない。昨年、急に値段を変更したので運用コストが読めない。初期に不具合が多すぎて、非常にイメージが悪い。スケールを自動でやってくれるのがウリだが、それにしては犠牲が多すぎる。カネが掛かるのは時間×人なので、汎用性がないと時間のロスがでかい。もちろん、案件を選べばすごい力を発揮する。用途を選べば本当にすごい便利。しかし、長期的に考えて、そこまでGoogleのクラウドを使う理由は、もうない。もっと汎用性の高い競合が多すぎるからだ。最近は時代と環境の変化が激しいので汎用性が無いと開発にスピードが出ない。

最初にGoogle大丈夫か?と思ったのは、Androidだ。AndroidがネットブックのOSだったら技術的には全くすばらしいと思う。しかし、普通のデバイス開発の経験があれば、Linux+JavaベースのOSのケータイ電話を作るといわれたら、止める人のほうが多いと思う。Javaを使うと電源の消費量は激しくなる上に、電源制御も難しくなるからだ。Javaは単純にCPUのクロックを食いつぶす。さらにはソフトウェアから見てハードウェアの距離が遠くなるので、タイミングが厳しい処理になればなるほど難しいし、細かい省電力処理も難しい。Symbianと反対のポジションである。

普通のエンジニアならば、電源周りで何らかの重大な混乱があるだろうということは、容易に想像はつく。しかしながら、googleのブランド力とマーケティングで、あっという間に広がってしまった。そう、Googleだからね!という無駄な安心感でここまできた。

Androidの開発環境を使っていると、本当に「コイツら大丈夫か?」と思うことが多い。いまやネットの世界は、もっとモダンな開発環境が出ている。iPhoneのXcodeを使った後に、AndroidのEclipseを使う気分は最悪だ。Adobeの各種ツールに比べてもAndroidの開発環境を見る限り、彼らに開発力があるように思えない。無料のツールだと言われても、つらい。さらに、最近はUnityなど、もっとモダンでカッコイイ環境がある中、Eclipse+ADTプラグインを使っていると、あまり頭がいい連中とは思えない。しかも、細かいバグが多い上に使いにくい。Googleの用意したグラフィカルGUIツールを最初から最後まで使っている人は少なく、みんな最終的にはXMLをテキストでゴリゴリ書かざるをえない。iOSのIBでポチポチと部品を置いてオシマイな世界と大違いだ。むしろ、ハイパーカードやVisual Basicの方が作りやすかった。

普通に開発力があれば、「Eclipseなんかクソなので、Googleでもっとカッコイイ開発環境を作ろう!」とならないのだろうか。正直、ぼくはEclipseの代わりの開発環境を作りかけたことは何度かあるが、コード補完が面倒くさくて、やっぱりやめた。

Chrome-OSもGoogle IOで頂いて、苦労して日本に持ってきた割には、残念賞だった。Linuxで最小ディストリビューションつくって、flash-bootをつかって、chromeしか起動させないだけのOSだった。最初、起動が早くて感動したけれど、MBAや他のSSDのPCとそこまで大きく変わらないので、感動はしなくなった。

google plusは何がしたいのかさっぱりわからない。Facebookをちょびっとオープンにして、サークルをつけた感じだけど、だったら、twitterかfacebookでいいやって、思ってしまう。いろいろくっつけたのはいいんだけど、まぁ、コミュニティなんで、つぶやければいいんでしょうね。

いちばん、驚いたのはGoogleは課金系のサービスでバグが多かったことだ。正直、これはありえない。AppleがiOSの課金を作っても、NECがガラケー課金つくっても、課金だけは慎重に実装され、できる限りエラーが少ないように実装するのが当たり前だ。一方、Googleはandroidマーケットでもapp-in-billingでもリリース当初、結構、長い間、課金エラーが多かった。日本にandroidが出た最初の半年以上もエラーはちょくちょくあった。要するにゲームを買おうとして、購入ボタンを押しても反応が返ってこないとか、落ちるとかそういう問題だ。課金エラーが頻発するのはサービス提供者としてヤバい。長島ヤバいとか言うレベルではないくらいヤバい。コンテンツ業者からすると、ありえないくらいヤバい。最近は、だいぶマトモになった。とりあえず、Googleの課金系サービスは半年待って使う方がいいな、と思った。それか、各社キャリアの課金を使うことだと思う。

彼らの技術を総じて言うなら、検索屋の技術だと思う。「正確でなくてもいいから、スケールして動くこと。少々、データが消えても、不正確でもいい。億単位のでっかいデータを扱えること」である。それはそれですばらしいが、課金データは消えてもらっては困る気がするし、個人情報はテキトーに扱われると、ヨーロッパや日本で痛い目に会うのが現実だ。

彼らは、技術があるけど品質がよくないだけなのか、技術が偏っているのかよくわからない。このまま、彼らがケータイOSを作り続けていいのかも、ぼくはよくわからない。

多くのエンジニアがandroidのクソっぷりをdisる。しかし、ぼくらはandroidから逃れることはできない。オッサンエンジニアは17年前を思い出してほしい。かつて、Windows95というクソOSがあった。APIの使用は無駄に複雑だし、MFCはC++のクセに全然オブジェクト指向でもないし、Visual C++は全然ビジュアルじゃないし、特に下位のドライバ開発者はあの超絶不可解な構成で頭を痛めただろう。だいたい一部16bitでintも16ビット(+32767までしか扱えない)なんてどういうことだ?

しかし、あれだけウンコOSでもWindowsは世界標準になった。いま、Androidは17年前のWindows95だ。ウンコでも我々はAndroidを知らないといけない。エンジニアはウンコを食べないといけない。

もちろん、Chromeはよくできているし、gmailも愛用している。Google IMEは賢いと思う。google mapなどの、各種のgoogleのサービスがないとぼくは、生きていけない。しかし、最近、Googleが出すサービスは、なんか頭がいいのか、悪いのかよくわからない。

しかし、今でも多くのメディアで「Googleは世界最高の頭脳を結集した、最高の技術者集団です!」と言われる。今日も不思議なエラーを吐くEclipseを見ると、ぼくは、あんまり納得できない。


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