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書籍紹介10 : 「ロラン島のエコ・チャレンジ」ニールセン北村朋子

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ロラン島のエコ・チャレンジ

私が所属するメンバーズは5年ほど前からデンマークをあらゆる面でベンチマークし、いいところを取り入れています。きっかけは弊社が人間中心の会社に変貌しようと決めて、当時デンマークは国民幸福度世界ランキングNo.1で、かつ、生産性、教育レベルが高く、これからの我々のあり方や働き方の示唆があると考えたからです。今年の2月に私もデンマークに出張し、教育、自然エネルギー、デザインの現場でその素晴らしさを体験してきました。その出張で最初に訪れたのがこの本のロラン島です。そしてそのガイドをしていただいたのが著者の北村朋子さんでした。

ロラン島はかつての中心産業だった造船業が衰退し、その後産業が育たず巨額の赤字と高い失業率のため、お荷物自治体と言われていましたが、官民が一丸となり自然エネルギーに投資、今では自然エネルギー100%、かつ供給率600%!となり、余剰電力をコペンハーゲンや隣国ドイツに輸出し、世界でも自然エネルギーの先進地域として様々な企業や国、地域が学びにきています。ロラン島にはここかしこに風力発電の風車がたっています。平野、海、個人の家にもたっており、その姿は圧巻でした。地域衰退という社会課題をビジネス(自然エネルギー推進)で解決することで持続可能な社会を築くという、このブログで提唱しているCSVを実践しているのです。

この道筋は1998年市長になったハンセン氏とその懐刀であったクリステンセン氏のリーダーシップによるものではあるが、地域住民も積極的に参加し、推進していった結果だと言える。幸いにもそのクリステンセン氏ともお会いすることができ、環境に関してのレクチャーを聞くことができたが、環境エネルギーに対する深い知識と強い意志を感じました。R0032441.JPG

写真はクリステンセン氏とこの本の著者であるニールセン北村朋子氏

ロラン島は、風力電力だけでなく、その他の自然エネルギーにも積極的に取り組み、さまざまなイノベーションを起こしております。日本は世界の潮流である自然エネルギーでは後塵を配していますが、その原因の一端は政治にあると言われています。未来をデザインした政治と今の利権を固執するが故の仕組みとの違いは時間が経てば経つほど大きな差がついてきます。

エネルギーという経済にとって大きな原動力がしっかりとデザインされている国の原動力は、成熟した民主主義とその民主主義を徹底する教育でした。この本は自然エネルギーを題材とした本ではありますが、地域活性化、民主主義、教育、政治のリーダーシップと住民の参加、多様性、自然との共生、デザインなどこれからの日本にとってとても重要なことのヒントが満載です。

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