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共創でマーケティングを変える!

Social Good な企業とその取り組み #5:Unilever-1

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Unilever食品洗剤ヘアケアトイレタリーなど家庭用品メーカーであり、オランダイギリスに本拠を置く多国籍企業ダヴリプトンなとの著名なブランド日用品を世界的に製造・販売するグローバル企業で、 一般消費財メーカーとしては、プロクター・アンド・ギャンブルネスレにつぎ世界3位です。(wikipediaより) そして、筋金入りの社会課題解決コミットメント企業=Social Good Corporation です。

ユニリーバは、「よりよい明日を創るために」というビジョンのもと、環境負荷を減らし、社会に貢献しながら、ビジネスを2倍にすることを目指しています。2010年には成長とサステナビリティを両立させるビジネス・プランとして「ユニリーバ・サステナブル・リビング・プラン」を発表。世界各国で取り組みを続けています。(Webサイトより)

しかし、単なる環境を配慮したCSRを重視した企業といことではなく、きわめて「戦略的」に推進しているというところがポイントです。長らく成長が横ばいであった2009年にCEOに就任し、「売り上げを2倍にする」と宣言したPaul Polman氏の中長期での成長を見極めたうえでの経営戦略なのです。彼が掲げた経営戦略は下記の4つ(McKinsey & Comany掲載のPaul氏インタビューより)

  1. 従業員のマインド
  2. Unilever Sustainable Living Plan
  3. 四半期決算書の廃止
  4. 短期的な業績ではなく中長期業績に基づく報酬制度

株主、株価偏重のグローバル企業にもかかわらずこの「改革」はかなりの英断だったと思われます。実際この後株価は8%下がったそうですが、彼の中長期戦略の決意は変わらず遣り通し、マーケットもこの姿勢を評価し現在は2.4倍(2016年3月現在)になっています。

screenshot-www.unilever.com 2016-03-28 08-04-15.png

その柱となる「Unilever Sustainable Living Plan」は経営の柱として計画、実行されていますが、その主旨は下記です。

So we created the Unilever Sustainable Living Plan, which basically says that we will double our turnover, reduce our absolute environmental impact, and increase our positive social impact.(Paul Polman, CEO)

われわれの環境負荷を削減し、社会的にポジティブな影響を生み出し、売り上げを倍にする

そう、彼らは「新しいビジネス・モデル」に取り組みだしたのです。プランには下記の領域での大胆なゴールが設定されています。そしてその数値目標に関しても明確に定義しています。

「健康と衛生問題の改善:2020年までに100万人以上の人々の健康や衛生問題を改善する」

  • Reducing Environmental Impact: By 2020 our goal is to halve the environmental footprint of the making and use of our products as we grow our business.

「環境問題の改善:2020年までにわれわれの商品を活用して環境の改善の足跡とビジネスの成長を達成する」

  • Enhancing Livelihoods: By 2020 we will enhance the livelihoods of millions of people as we grow our business.

「生計(経済)の強化:2020年までにわれわれのビジネス成長とともに100万人の生計強化を推進」

そして解決すべき社会課題のゴールも定められました。

screenshot-www.unilever.com 2016-03-28 08-32-02.png

これらの進捗はビジネス成果とともに公開されており、Paul氏は動画でも進捗を話しています。(ちなみに資源の削減のため紙でのレポートは廃止されています。)

2014年度の報告書はこちらになりますが、各ブランドのパフォーマンスもしっかりと報告しています。すなわち、社会課題の解決を各ブランドにも落とし込んでおり、ビジネス成果と社会課題解決進捗を全社マターとして推進しています。

COOのハリッシュ・マンワニは2013年、Unileverの経営姿勢をTEDで語っていますが、グローバル企業の責任者がこのような決意をしっかりと自分の言葉でしゃべっています。

Chief Marketing & Communication Officer のKeith Weedも2105年のカンヌでのキーノートスピーチで多くの時間を割いて彼らの取り組みを語りました。次回はその取り組みについて書きます。

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