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共創でマーケティングを変える!

Shared Value Leader Summit 2014 レポート #2 by H. Watanabe

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午前2本目のパネルディスカッションでは、コカコーラ・ブラジルのコレクティーボ・プロジェクトの取り組みや、IBM社のSmarter Planet、ユニリーバ社のCSVブランディングなどの事例が担当トップマネジメントから直接紹介されました。

午後の部に入り、CSVを事業の中核に据える新興企業のストーリーが紹介されました。

建築用のコンクリート合成装置を販売するベンチャー企業が、何故CSVの先進企業となっているのでしょう。パキスタンや中東でシャベルを使って地面で手作業により混ぜ合わせて作られるコンクリート。

目が粗くなり、震災時に僅かな力でひび割れを起こし、建物全壊により圧死事故を頻発させているのだそうです。これに対し、地場の建築業者には高価な生コンミキサー車を購入するほどの資金力はなく、政府の協力も得ながら中小土建会社でも安価に導入できる生コン製造機がヒット商品となり、同社に飛躍的な成功をもたらしているとのこと。

このように社会的な問題を新規事業の機会と捉えることで、無限のビジネスチャンスが広がっており、かつ社会にとって良いこと、求められていることを営むことができるという好事例でした。

速報で初日の内容全てを御紹介することはできません。
プレゼンテーションされたにも関わらず社名に言及しなかった会社様や、私の拙いヒアリング力のせいで荒削りな解説になってしまった点などご容赦ください。帰国後、CSV連載コラムにてきちんとご紹介するつもりです。

最後に、本日の会議全体を通じて共通して感じられたことをお伝えしたいと思います。

「短期的なROI 回収」から「長期的な社会事業価値の形成」へのパラダイム・シフトが繰り返し、多数のプレゼンテーターから様々な表現で語られていました。

また単なる数字の成長や、PL/BSの拡張のみがプライベートセクターのゴールではないということ。数字に表れない無形価値の大切さに気付いたということ。
そして何よりも、米国のリーダーシップの下、企業の価値観や評価指標が変わり始めている、という実感を強く持ちました。

世界は本来あるべき方向を模索し、どんなに困難で時間がかかろうとも、より良い地球を築くべく、待った無しの変革に向けて動き始めているようです。

明日、Summit 二日目は日本を代表する先進CSV企業として、キリン株式会社の磯崎代表取締役が登壇されます。

その後、金融、健康、教育の分科会に分かれて3時間のワークショップ。楽しみです。

2014年5月13日(火)深夜 at Manhattan

渡辺 弘

株式会社エンゲージメント・ファースト

グループ長兼チーフ・エンゲージメント・ストラテジスト

統計士・データ解析士/デジタルハリウッド大学客員教授

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