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デジタルとアナログの間を行ったり来たり

未解決事件にはまる正月[Cold Case]

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 お正月にAXNで「コールドケース」一挙放送をするというので、試しに見てみることにした。録画番組の消化はほどほどに進んでいるし、CSIと同じジェリー・ブラッカイマーが手がけるというので気になったから。

今年の年賀状  このドラマは長年塩漬けにされた未解決事件を再捜査するもの。日本の「時効警察」もそうだ。昨年は不覚にも(苦笑)これにかなりはまり、携帯メールの着信音はいまだに(ドラマで使用された)「プクーちゃんのテーマ」だったりする。この時効警察を引き合いに出すのは無理とは思うが、「時効警察」をまじめにドラマチックに仕立てたのがコールドケースと考えてもいいかもしれない(やっぱりダメ?)。

 ついでに言えば、日本には時効があるがアメリカにはない。捜査が行き詰まり凍結したとしても完全に停止することはなく、新たな証拠が出ればたとえ30年後であろうとも捜査が再開されることがある。CSIでは科学捜査班のホレーシオが証拠不十分で容疑者を拘束を解く際に「(何年後でも)we're not close」と言う場面があり、時効がある日本との違いを実感させられたことがある。

 とはいえ、ドラマにはそんなに多大な期待を寄せていたわけではなかった。ところが1話目からガツンとやられた。最も驚いたのはBGMの使い方だ。冒頭と結末、それから事件回想場面では当時をほうふつとさせる曲を流し、演出効果を高めるている。特に筆者は中学から洋楽にどっぷりはまっていたので、懐かしい曲とドラマの展開の組み合わせに驚かされっぱなしである。

 例えば4話「CHURCHGOING PEOPLE(邦題:靴下)」。冒頭にGeorge Michaelの「Faith」がかかり、信心深い家族の食卓が映る。画面下には1990年とある。このエピソードでは食事の数時間後に父親が風俗街で遺棄された状態で発見され、容疑者不明のまま2003年に再捜査となる。息子が母親にダンスを教えてもらう場面にはRick Astleyの「Never Gonna Give You Up」がかかり、人目をはばかりながら男女が密会する場面ではBelinda Carlisleの「I Get Weak」がかかる。どの場面も曲の歌詞が何かを代弁しているようでもある。相当力を入れて選択していると思う。

 まだ7話までしか見ていないが、このドラマでは結末には真犯人を身柄拘束して連行するのがお約束となっているようだ。こうした予定調和的な結末は水戸黄門みたいで個人的にはあまり好みでないのだが(David E. Kelly作品のように後味悪いほうが現実味があって好みだったりする)、ここでもBGMが圧倒的な説得力を持ち事件が解決したことを強く印象づけている。

 ついでにいうと結末にはすでに亡くなった被害者が真犯人逮捕を静かに見つめている。いるはずのない故人が登場するなんて非現実的ではあるが、殺人事件では不慮の死を遂げた被害者の無念があるということ、それを忘れてはならないということをドラマは伝えてくれているような気がする。

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