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単に「使い続ける」だけだと低いレベルで頭打ちになる

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昨日の続きで、「文章や図を書く力を身につけるのは、外国語を学ぶことに似ている」という話題です。

似ているという理由は5項目ありました。

(1)必要な知識は難解ではないが、量が多い

(2)日常的に何度も使い続けないと上達しない

(3)単に「使い続ける」だけだと一定のレベルで頭打ちになる

(4)法則的知識を知っておくと学習スピードが速くなるのに、なぜか軽視されている

(5)現場でフィードバックをくれる人がいると上達が早い

まとめ:図解力・文章力のトレーニングは外国語のようなもの

今日はこのうちの(3)について。


(3)単に「使い続ける」だけだと一定のレベルで頭打ちになる

最近あまり見ていないのですが、以前はLang-8という外国語の相互添削サイトをよく使っていました。相互添削というのは、違う言語のネイティブ同士でお互い添削し合うというもので、英作文の勉強をするのに非常に重宝していました。

もちろん相互添削なので私の方は外国人の日本語を添削します。ところが、その中でちょっと気になる現象に気がつきました。日本語を学習中の某氏は毎日必ず日本語の投稿をしてきます。そこそこ上手いので初心者ではないのはわかります。が、しかし・・・半年、一年経っても「そこそこ上手い」レベルから一向に上達しない感じなのです。添削は私を含むいろいろな人にしてもらっていて、「学ぶ材料」には事欠かないはずなのにいったいなぜなのだろう・・・?

そう不思議に思って彼の投稿の様子を見ていると、添削してもらったときのレスポンスが「Thank you!」だけで、ガチで勉強してたら普通いろいろ出てくるであろう「質問」がまったくないことに気がつきました。

おそらく、間違えたときにその間違いの種類を自覚して次の機会に活かす、というフィードバックを全然していなかったのだと思います。日本語の文章を書いたら書きっぱなしで、添削してもらってもそれはその瞬間に右から左に抜けるだけ。その経験を「ああ、このタイプの場面ではこうするんだな」と別なケースに応用できる知見として抽象化して理解することをまったくやっていない。

たとえば英語の例で説明すれば、

(a) I run.  He runs.

(b) You walk.  She walks.

という2組の例文はいずれも「三人称単数現在なら動詞にsをつける」という共通の法則で理解できるし、それを分かっていれば主語と動詞が別なパターンでも応用が効きます。初歩の英文法ですがこういうのが「抽象化」であり、何を学習するときでも重要なことです。

「抽象化」をしないと知識を応用できませんので He run. と書いて「そこは runs だよ」と添削してもらった直後に She walk. と書くような、同じ間違いを何度も繰り返してしまうわけです。

経験を振り返って抽象化して知見化する、ということをせず、単に「数をこなす」だけだとこういう部分で限界があるので、単に「使い続ける」だけだと一定のレベルで頭打ちになります。He runs. と She walks. を別なものとして覚えているようでは、 buy も speak も tell も go もすべての単語をその調子で覚えていかなければならないので勉強の効率がまったく上がらないわけです。

本人は長い時間をかけて勉強しているつもり、でも全然身につかない。単に「使い慣れる」だけだとそういう落とし穴にハマることがあります。これを避けるためには何が必要なのでしょうか?

(・・・続く)


この記事は著者の公式サイトからの転載です。

IT研修のトレノケート社に「言いたいことをサクッと図で表す技術」という研修プログラムを提供することになりました。コンテンツは開米が開発したものです。講師も6月と7月は私がやります。どうぞご利用ください。

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